喪主がしなければいけないこと

2005-09-16 vol.332

私が喪主!?必要な届け・手続きの方法と葬儀の流れ

私達が生きてゆく上で、決して避けては通れないのが冠婚葬祭という古来から伝わる儀式。ある日突然訪れて、限られた時間の中でその準備を進めなければならないのが葬儀です。 葬儀とは本来、亡き故人の生前を偲ぶとともに、遺族にとっての大切な人を失った悲しみの心を少しずつ軽減し、最後の別れの時を過ごすのが理想ですが、遺族にとっては短い時間の中でやらなければならないことが山ほどあり、さらに初めてのことで分からないことも多いため、悲しみの心をよそに、忙しく動き回らなければならないのが現実。特に葬儀は地域性や宗教などによってその慣習も様々で、困った場面も少なくありません。

私が喪主!?必要な届け・手続きの方法と葬儀の流れ

今回は地元の葬儀社や函館市の取材協力により、「もし、大切な人が病院で亡くなって自分が喪主をすることになったら…」というケースをシミュレーションしながら、人が亡くなった瞬間から葬儀が終わるまでの流れにスポットを当ててみました。函館独特の慣習が、ほかの地域の葬儀の流れとは随分違うケースもあります。函館生まれ函館育ちの人はもちろん、転勤族の皆様もぜひ、この機会に函館の葬儀についての知識を深めてみてはいかがでしょう。

【突然、あなたが喪主になったら?】いざという時に困らないための函館の葬儀に関する心得

葬儀手帖

シミュレーション
もしもあなたのご主人が
病院で亡くなったら…

監修/株式会社博善社
1級葬祭ディレクター 小泉輝明さん

ご主人を病気で亡くしたあなたは、深い悲しみや淋しさとともに今後の生活に対して不安もいっぱい。ところがそんな思いをよそに、喪主としての大変な仕事があなたを待っています。

まずは死亡診断書を病院から受け取り、その後、葬儀社を決める

困っているおばあさんのイラスト

病院でご主人を亡くしたあなたは当然、突然の出来事に悲しみ、気持ちがパニック状態になるでしょう。でも、喪主となるあなたには、悲しみの気持ちをよそに、やらなければならないことが山ほどあります。
まずは病室を片付けて病院の精算を済ませ、病院から「死亡診断書」を受け取ること。次に、遺体を自宅などに運ばなければなりませんが、通常は遺体を運ぶのは葬儀社に依頼します。函館の場合は、互助会や知り合いの葬儀社など、この時点で葬儀社が決まっているケースが8割ですが、中には病院で紹介してもらったり、病院の霊安室にある市内の葬儀社の一覧表を見て選ぶ人もいます。函館は、本州の諸都市のように、病院と葬儀社が密接に関係しているケースはないようです。信頼できる葬儀社選びは、トラブルのない葬儀のための重要なポイントです。
また、葬儀をどこで行うかも重要で、町会館や斎場というのが一般的。例えば『株式会社博善社』のように、自社で道南に3箇所の斎場を所有していて、「安心友の会」(入会費5000円)の会員になると、無料で斎場を利用できるというシステムもあります。葬儀社選びや葬儀会場については、事前に知識と情報を得ておくことが、万が一の時に困らないために大切です。

自宅に遺体を運んだら…

自宅に遺体が運ばれたら、布団を敷いて枕飾りをします。葬儀社では一般的に枕飾り一式を用意してセッティングしてくれますが、布団はあなた自身が用意しなければなりません。自宅に遺体が運ばれてからは、次第にあわただしくなりますが、枕飾りに添えるご飯と果物は自分で用意することをお忘れなく…。その後、お寺さん(僧侶)を呼んで枕経を読んでもらいます。次第に各業者さんなどへの心づけなど、思わぬ場面で金額が発生するケースが考えられますが、お金が必要になる場面では基本的に葬儀社の担当者がアドバイスしてくれます。

葬儀までの日取りを決める。函館独特の慣習があるので注意!

喪主になったあなたは、葬儀社の担当者と葬儀の日取りを打ち合わせします。同時に、葬儀委員長になってもらう人を決めなくてはなりません。
函館の葬儀は「納棺」⇒「出棺」⇒「通夜」⇒「告別式」が一般的ですが、これは道南と青森地方の一部だけの慣習。全国的にポピュラーなのは「納棺」⇒「通夜」⇒「告別式」⇒「出棺」です。つまり、函館の場合は、まず火葬ありきで、その後の日程が進んでゆくわけです。函館以外からの参列者が予想される場合には注意が必要です。独特の慣習の理由には、函館大火や伝染病、また、遠洋漁業ですぐに戻れない遺族のためにお通夜は後回しにする、といった諸説があります。

納棺、出棺、火葬

葬儀社のカタログ

【画像】葬儀社オリジナルのカタログ。不明な点は何でも遠慮せず葬儀社の担当者に尋ねるべき。

納棺の段階で、喪主のあなたがしなければならないのが棺と遺体に着せる白装束選び。最近の葬儀社はカタログが充実しているので予算などに応じて選びます。
死後、24時間が経過すると火葬することができます。火葬場までは霊柩車または専用バスを用いますが、函館の場合は専用バスが一般的です。火葬には「火葬許可証」が必要で、市役所に「死亡診断書」を提出すると「火葬許可証」を得ることができます。市役所への手続きは一般的に葬儀社が代行してくれます。火葬には予約が必要。函館の場合は午前9時、午前9時15分、午前11時30分、午前11時45分、午後1時45分、午後2時、午後2時15分。予約は葬儀社がしてくれますが、日時を決めるのは喪主のあなた。函館以外から参列者が来る場合は、前述した函館独特の慣習により、「何故、お通夜の席で遺体と最後のお別れができないのか?」という苦情が発生する場合もあります。函館以外からの参列予定者へは事前に函館独特の慣習を知らせ、最後のお別れを希望する人のために、それに間に合う火葬の日程を組む配慮も必要です。火葬の間、通常は会食などを行いますが、仕出しの手配など分からない点は何でも葬儀社に相談することができます。火葬の料金は函館の場合、14000円です。

お通夜の前に用意するもの

通夜までに必要な物リスト

お通夜までに祭壇を用意しなければなりませんが、祭壇についても、最近の葬儀社では分かりやすいカタログを用意している所が多いので、それらを参考に葬儀社の担当者と相談しながら祭壇を決めます。お通夜までに用意するもののリストアップは、できるだけ詳細が分かる見積書を用意してもらうと、後のトラブルの回避になります。祭壇のほかに、遺影用の写真(最近は生前のカラー写真が多い)と香典返しが必要。お寺さん(僧侶)の手配や戒名については原則として遺族とお寺によるやりとりとなりますので、葬儀社は立ち入りませんが、不明な点はアドバイスを受けることができます。お通夜以降の日時と場所が決まったら、必要に応じて新聞に死亡広告を掲載します。一般的に掲載日はお通夜当日で、掲載日前日の午後4時頃までに原稿を完成させなければなりません。申込は広告代理店が窓口ですが、葬儀社が代行してくれる場合も多く、掲載内容にも文例があります。広告料は掲載後、広告代理店に支払います。

お通夜の日まで蝋燭の火を灯し続けるのはどうして?

お通夜までの間、遺族などが寝ずに仏前の蝋燭の火を絶やさぬよう灯し続けます。この慣習は、大昔に野外で葬儀を行っていた時、遺体が野獣に襲われないことや、遺体の臭いを防ぐといったことが由来しているといわれています。

お通夜、告別式のセレモニーは、どう進行してゆくのか?

告別式で遺影と遺灰を抱えている親子のイラスト

お通夜や告別式は儀式であると同時に、セレモニーでもありますので、式次第や司会進行を考えなければなりません。葬儀の司会や弔電の読み上げは、依頼すれば葬儀社がやってくれますが、それらを決めるのは喪主であるあなたです。とはいっても、お通夜も目前に迫ってくる頃には、精神的にも肉体的にも疲労が出てきはじめる頃。遺族や親切な第3者と話し合ったりしながら、誰に何を頼んだらよいかを決めてゆきましょう。その際、しきたりや人間関係のことなどを巡って遺族間でもめたりするケースも少なくありませんが、困った時には葬儀社の担当者と上手にコミュニケーションを取りながら、問題を解決してゆきます。とにかく、分からないことがあれば「葬儀社に聞く」ということが大切です。

お通夜の翌日は告別式

お通夜が終わると、翌日は告別式です。告別式の式次第や司会進行などについてもお通夜と同様、葬儀社のアドバイスや手伝いのもとに行ってゆきます。

葬儀社は、最後に遺族から感謝されるような仕事がしたいと思っている

葬儀社スタッフのイラスト

函館の場合、人が死去した直後、遺族の間でどこの葬儀社に依頼するか決まっているケースが8割と前述しましたが、その多くは、過去に経験した葬儀の際に評判の良かった葬儀社の口コミによるものといわれています。特に函館のような地方都市の場合は、過去の実績から葬儀社が選ばれるケースが顕著です。
つまり、葬儀社にとっても葬儀の全日程終了後に、遺族をはじめ多くの人から感謝される仕事を望んでいるわけです。故人の生前の思いや喪主の希望、さらには遺族の願いなどをできる限り実現し、トラブルのない葬儀を理想としているわけですから、喪主となったあなたは、自身の思いや知らないことを遠慮なく葬儀社の担当者に話したり聞いたりして構いません。大切なのは葬儀社選びと葬儀社とのコミュニケーションなのです。
特に最近は、厚生労働省認定の「葬祭ディレクター」といわれる葬儀の担当者も存在するようになりました。そういった人達は司会術や演出術を学び、さらに葬儀に関するあらゆる知識を学び、厳しい学科試験に合格して、仕事に臨んでいる人達です。こうした人達が存在するようになった背景には、葬儀には古来からの儀式としてやらなければならないことがある一方で、故人の生前の思いや遺族の希望を加味しながら、それぞれ個性のあるセレモニーを実現することも大切であるという昨今の考え方からきているものです。
ひと昔前までは死に関する日頃の話は、どちらかというとタブー視されてきました。しかし最近は、“人生のフィナーレとどう向き合うか”ということについて、家族で日頃から話し合い、必要な情報を集めてみることもごく普通になった時代といえるのかも知れませんね——。

各種届け出と手続きについて

戸籍に関する届けについて

届書

死亡した時は、死亡したことが分かった日から7日以内(7日目が土・日曜日、祝日の場合は明けた平日まで)に「死亡届」を出さ なければなりません。窓口は、函館市役所本庁舎・戸籍住民課戸籍係のほか、最寄りの支所で受付(夜間・休日は、函館市役 所本庁舎の宿日直室のみ受付)。なお、届出の際は届人(親族など)の印鑑が必要です。

埋火葬許可

「死亡届」を出すと「埋火葬許可」の申請も行われます。函館市内で火葬する場合は「死亡届」と同時に、交付窓口で火葬 場の使用料を納めます(12歳以上は14000円)。

火葬

一類感染症等で死亡した場合を除き、死後24時間過ぎなければ火葬できません。
火葬場の火葬時間は、午前9時、午前9時15分、午前11時30分、午前11時45分、午後1時45分、午後2時、午後2時15分。 死産は午後3時のみ。

戸籍

「死亡届」を出すと、死亡した人は除籍されます。この戸籍が出来るのは、届け出から1週間後くらいになります。

※以上の手続きはほとんどの場合、葬儀社が行っています。

亡くなられた人の各種手続きについて

函館市民の人が亡くなられた場合で、下記に該当する場合、2週間以内に各手続きが必要になります。手続きは、函館市役所本庁舎のほか、各支所で行っています。

国民健康保険に加入している場合

国保年金課の窓口で「被保険者移動届」と「葬祭費支給申請」の手続きを行います。必要な書類は、被保険者証、印鑑、会 葬礼状または死亡広告など、振込口座。

老人保健法の該当者、重度心身障害者、老人、ひとり親家庭、乳幼児などの医療費の助成を受けている場合

医療助成課の窓口で「受給資格喪失届出書」の手続きを行います。必要な書類などは、受給者証、印鑑。

介護保険に加入している場合

介護高齢福祉課の窓口へ「介護保険被保険者証」をお返し下さい。

知っておきたい「互助会」というシステム

互助会は戦後まもなく、神奈川県横須賀市で発足しました。人生の大きな2つの儀式といわれる結婚式とお葬式のために、みんなで少額を積み立てて、必要になった順に利用し、人手も互いに協力し合って式を執り行ったというのが、そのはじまりでした。
その後、通産省の許可と「割賦販売法」という法律のもと、一般的に誰でも加入し、利用できる経済的で合理的なシステムとして広まりました。やがて来る日のために“安心の備え”として、一定の期間、毎月の積み立てをして権利を得るためのもので、銀行などの預金とは違います。試行権利の積み立てを行っているということで、全国で320社ほどが営業しています。利点としては、次の5つが挙げられます。

  1. 冠婚葬祭によい物が安く利用でき、誰でも入会できること。
  2. 加入権利は永久に保障され、利用するまで権利が保障されるので安心なこと。
  3. 現在は経済産業省許可事業なので、信用ある制度だということ。「全互協」という保障機構にそれぞれの互助会が加盟して、万が一の事業継続困難などの場合はほかの互助会が権利保護を行うので、権利の永久保障が可能になります。
  4. 全国組織なので、転居などの場合でも、北海道から沖縄まで移籍でき、結婚式や葬儀に利用できます。
  5. 契約方式は前払いによる契約方式なので、契約内容に変更がありません。また、物価上昇や景気変動にも関係ありません。

契約内容や契約プランなどは各互助会で多少異なります。また、契約内容に入っていない項目もあるので確認、相談をきちんとすること。そのほか、約款も確認することが必要です。契約した系列の式場以外にも自宅や町内会、寺院などを使っての葬儀施行は可能です。
(取材協力/『平安システム』顧問 古村 憲一さん)

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