函館の老舗和菓子
2005-06-28 vol.327
函館の老舗和菓子屋さんで買える可愛くて美味しい人気菓子
日本古来から伝わる、すぐれた食文化のひとつである和菓子。和菓子の歴史を繙くと、米や麦で飴が作られはじめた古墳時代にまで遡るといわれています。 「菓子」という言葉はもともと日本では、自然界の木の実を総称した「くだもの」にあてはめた漢字でした。
古来、日本人は穀物などの不足を補うために果実を食べていましたが、その多くが甘味を持つものだったため、嗜好品としても親しまれてきました。そんな中、果実ではなく、穀物を主原料として加工する嗜好品「唐菓子(からくだもの)」の製法が中国から伝えられ、果実とも嗜好品であるという点が共通していることから、果実も唐菓子も同じ「菓子」のたぐいとして扱われるようになったといわれています。
唐菓子の伝来当時、唐菓子は大寺の供物などとして用いられ、一般庶民には縁遠い存在でしたが、唐菓子の中から団子や饅頭、煎餅が誕生し、普及しました。菓子作りが飛躍的に進歩したのは江戸時代頃といわれ、8代将軍・徳川吉宗の「甘藷栽培奨励」や茶の湯などによって、洗練された和菓子文化が継承されました。
こうして受け継がれる和菓子文化を広く知ってもらおうと我が国では、昭和54年に6月16日の「和菓子の日」も作られました。平安時代、国内にまん延した疫病を除く意図で仁明天皇が6月16日に餅を神に供えて健康を祈ったことにちなんだものです。
昨今の洋菓子ブームもあって、スイーツの表舞台に立つのは腕のいいパティシエによるケーキやデザートが主流ですが、やはり現在でも熱心な和菓子ファンは多く、数多くの和菓子職人が伝統を受け継ぎ、その味と文化を今に伝えています。特に最近は、現代人の味覚に合わせて、甘さを控え目にしている和菓子店も多くみられ、ヘルシーで上品な和菓子の魅力が再認識されているようです。
【老舗という、甘い誘惑…】道南の有名老舗和菓子店総力特集
今回は道南にある老舗の和菓子店にスポットを当て、その伝統の技と、昔から親しまれてきた人気の逸品に着目してみました。和菓子が健康的で体にやさしいというのはよく知られた話ですが、ほどよく甘い物を食べると思考が活性化するともいわれています。数ある老舗の逸品の中から貴方の舌に合う和菓子をみつけて、心地よい初夏の甘いひと時を満喫してはいかがでしょう——。
若竹
市内湯川2丁目にある『若竹』は明治38年の創業。現在は4代目となる竹内みよ子さんがすべて手作りしている。『若竹』といえば、何といっても「3色だんご」(5本入り720円)が有名。牛皮を十勝産の3色のあんで包んだだんごは見た目も鮮やかで、柔らかな食感が優しい味わい。粒ごまの入った白あん・抹茶あん・小豆あんの順に甘みが増すよう調整してある点にも納得!
なお、「3色だんご」は1日限定200本のため電話予約がオススメ。
また、「半月最中」(1個220円)も見逃せない逸品で、こちらは、小豆、黒ごま、白あんの3種類。最中に描かれているのは、創業当時この店の前にあった橋。歴史を感じるそれぞれの味を、ぜひご賞味あれ。
営業時間は午前9時から売り切れまで。毎週木曜日定休。駐車場有。
●湯川2-4-31
Tel:57-6245
鶴乃餅
今年で開業55年を迎える市内宝来町の『鶴乃餅』の「宝来だんご」(1本90円)は、1977年に全国菓子大博覧会で名誉金賞を受賞したことがあるという、味、人気ともに1番の品。
この「宝来だんご」は米粉の上新粉が原料で、滑らかな舌ざわりと、もちもちとした触感が美味しい。製造作業は、毎日朝6時30分頃からはじまり、およそ3時間かけて作ります。その日のうちに食べるように作っているので、一切、作り置きはしません。また、だんごにつけるゴマ、あん、しょうゆのタレもすべて店の手作り。
特に人気のゴマだんごは、まだゴマだんごが一般的ではない頃に売り出したというもので、タレは店秘伝の味。
噂を聞いて、遠方から買いに来る人もいるのだとか。
営業時間は午前8時〜午後6時。毎週日曜定休。
●宝来町22-4
Tel:23-1634
市中屋
市内谷地頭町にある『市中屋』が現在地に店を構えたのは昭和9年。創業当時は青柳町で雑貨販売の傍ら和菓子を販売していましたが、次第に人気が出て本格的な和菓子店となりました。
当時から販売していたという「豆大福」(こしあん、115円)は現在も根強いファンが多く、豆大福を購入するため来店する人も多いのだとか…。柔らかな豆大福は、上質の餅米を使用。最近は、黒豆を使った豆大福が多くなっている中、この店では赤エンドウを使い、本来の豆大福の味を守り続けています。もちろん、あんこも自家製。「草大福」(つぶあん、115円)も見逃せない逸品。なお、豆大福の販売は通常1日30〜40個ですので、前日予約がオススメ。
営業時間は午前7時30分〜午後7時30分(大福の販売は午前10時前後〜)。毎週日曜日定休。
●谷地頭町26-11
Tel:23-3027
吉乃屋餅菓子店
市内松川町にある『吉乃屋餅菓子店』の創業は昭和初期。店を構えて70年以上になるというこの店では、べこ餅からねり切りまで材料は昔から決まっているもので製法も総べて手技。
「材料や製法を変えると、よいものが作れません」とは店主の坪谷隆由さん。オススメのねり切りは、昔から祝事や仏事には欠かせませんでした。作るものは、菊、松、竹、梅、柿、桃、鶴や亀、おしどりなど13種(大700円、小150円、おしどり200円)。色をぼかしたり、形を作ったりする技術は難しく、特に、菊の150個の花びらを入れるのは熟練の技。中は小豆あん、外は白あんで、あんは決まった分量で作らないときれいな形に作れないそう。ねり切りは夏期は牛皮になります。
営業時間は午前8時30分〜午後8時。休日は元日のみ。
●松川町23-8
Tel:41-2377
喜夢良菓子舗
七飯町本町にある『喜夢良菓子舗』は、創業から30年、函館に新しい和菓子を取り入れてきたことで有名。店内には、定番の和菓子と季節の和菓子が並び、この時期は夏菓子が人気。中でも「青竹水ようかん」(263円)は、見た目も涼しげで夏にピッタリ。箱入りの水ようかん(735円)もどうぞ。ほかには、道南で初めて販売された「くずきり」(梅・黒糖各210円)や夏の景色を感じさせる「涼菓」(3種各263円)と、見た目にも美しい夏菓子がそろいます。また、冷たく口当たりが良いだけでなく、体を冷やさない寒天などを使用している点も魅力のひとつ。定番の和菓子では、全国的にも評判の「函館大三坂」がオススメ。
営業時間は午前8時30分〜午後7時。不定休。駐車場有。
●七飯町本町438-3
Tel:65-3571
■支店
●本町29-23
ホテルシエナ1階
Tel:56-5808
石黒商店
市内昭和2丁目・国道5号線沿いにある有名甘納豆専門店『石黒商店』で昨年4月から発売している「花み餅」(1個126円)は、牛皮に白花豆の蜜漬けが粒のまま入っているというもの。
豆のことを知り尽くしたこの店が選んだ白花豆の美味しさを味わってもらいたいと試行錯誤して、ようやく完成したもので、白花豆の独特の風味と牛皮の柔らかさと甘さが絶妙にマッチした1品。
材料は餅米、澱粉、白花豆、砂糖、水飴で、添加物は一切使用していませんが、1週間程度なら日持ちします。少し固くなったら電子レンジで温めるて食べると、また違った美味しさが味わえます。 なお、旧函館市内近郊1000円以上で無料配達。地方発送も行っています。
営業時間は午前9時〜午後6時。定休日は毎週水曜日。
●昭和2-11-2
Tel:41-0839