函館の青春の味
2008-10-31 vol.406
函館の青春の味を年代別で青ぽ記者が厳選したらこんなに違った!
青春時代に食べた味っていくつになっても覚えていませんか?当時は新しかった店が、今も老舗となって残っていることが多い函館だからこそ、ふと思い出したように食べに行きたくなる懐かしい味。年代別で厳選したので、あなたの思い出の店と同じかチェックしてみて下さい。
スパイスの誘惑…魔の通路
シタール
高校時代、西武デパート・レストラン街のインドカレー『シタール』の隣店でアルバイトをしていました。従業員通用口から店舗内に抜ける細い通路は私にとって試練の道。スパイスの香りがかすかに漂い、カレーを求めてついフラフラと入ってしまいそうになる“魔の通路”。毎回その誘惑をふりきって仕事に向かったものです。バイト先だったとんかつレストランはいま函館にありませんが、シタールは健在。変わらぬ味で西武時代からのファンを魅了し続けています。写真は当時初めて食べた「えびカレー」(730円)。現在はライス(200円)またはナン(300円)を選べます。
営業時間は午前11時30分〜午後2時30分、午後6時〜午後10時。毎週第1、3日曜日定休。
●梁川町22-23
Tel:54-8712
銭谷加奈(30代)の青春の味
高校卒業間近の1月、昭和天皇が崩御。日本全国が娯楽自粛のムードに包まれました。スーパーマーケット、コンビニではBGMを消し、嘘のように街が静かに…。お笑い番組や面白CMは休止され、レンタルビデオ店はどこも盛況。私も行きましたが目ぼしい物は全てなく、ただ帰るはめになりました。
新年号発表で小渕官房長官が「平成」の額を掲げたテレビ画面は印象的でした。その額は、いま人気のタレント・DAIGOのおじいちゃんの家にあるとのこと。
おじいちゃんこと故・竹下元首相といえば消費税。平成元年は消費税導入元年であり、導入前は「料理飲食等消費税」として1人1回2500円以上の飲食に10%の税金がかかっていました。高校時代、アルバイトでついそれを忘れ非課税でレジ打ちし、給料から差し引かれガーン! 顔に縦線…。縦線でおなじみ、漫画『ちびまる子ちゃん』が連載され、人気を集めた頃でもありました。
その後就職し、上司に「おまえ、生きてるまる子だな」と言われることになろうとは…。
カッコ良さへの憧れ、いまも変わらず
カリフォルニアベイビー
まず、『カリフォルニアベイビー』っていう店の名前がカッコいい。大正時代建造の郵便局を改装した店内も、レトロなテーブルや椅子もシビれる。本当にカッコいいとは、こういうことを言う。まるでヴィンテージ・ジーンズみたいなカッコ良さだ。多感な青春時代にガツーンと衝撃を受けたのは僕だけでないハズ…。少なくとも僕にとっての“カリベビ”は、カッコ良さの教科書である。だから青春の味はもちろん、「シスコライス」(690円、午前11時〜午後2時のランチタイムのみソフトドリンク付)。胃袋にガツンとくるボリュームもミートソースの味も昔と変わらず、そしてあの頃の憧れも昔と変わらず——。
営業時間は午前11時〜午前1時(LO/午前0時)。無休。
●末広町23-15
Tel:22-0643
青山慎司(40代)の青春の味
ディスコブームど真ん中の青春時代。だからいまでも元気になりたい時は、80年代ディスコを聴きます。ホットゴシップの『ブレイクミー』が流れると、確実に体中の血の巡りがよくなります。「♪ハウ・キャン・アイ・セイ・ザッツ・アイム・ソーリー(そーれ、それそれ!)」です。『私をスキーに連れてって』という映画がヒットし、スキーが流行りました。函館にも何軒か大型スポーツ店がありましたね。ビリヤードもブームになり、若かったのでほとんど毎日、深夜までナインボールをやってました。函館の繁華街の賑わいはだんだん大門から本町に移行してきた頃ですが、それでも大門は活気がありました。DCブランドが流行ってたんで、休日は大門のブランド店が若者で賑わっていました。DCブランド店の店員さん達は閉店後、自分の店のブランドでお洒落してディスコに来るんです。みんなカッコ良くて憧れました。20代の初め頃に上京したんですが、その前の、ロックバンドに明け暮れた高校時代と、ディスコや恋愛に一生懸命だった函館での社会人時代は僕の宝物です。ロマンスの神様、どうもありがとう。
ゆっくり流れる時間
想苑
函館公園内にあった図書館の帰りに寄り道をした思い出の店『想苑』は昔と変わらない雰囲気のまま。オープン当時はシャンソンやクラシックをかけていたそうですが、何時の頃からかジャズを流す店として定着。函館八幡宮裏参道の静かな通りに面し、函館に残る数少ないジャズ喫茶の1軒です。当時の私には大人の雰囲気でちょっと背伸びしながら飲んだコーヒーの味がいまも懐かしい。窓からは公園の緑が眺められ、ジャズを聴きながら、あるいは静かな雰囲気の中でゆったり流れる時間を楽しみたい。軽食もあり、おすすめは「焼きサンドセット」(=写真、650円)や「モーニングセット」(500円)。
営業時間は午前10時〜午後10時。毎月第3火曜日定休。
●青柳町3-15
Tel:23-3763
野村保子(50代)の青春の味
当時、「大門」の中心に「彩華デパート」があり、その地下にあった名画座は私の映画への入り口だった。10代の頃からの映画好きで、洋画の世界にハマったのは手の届かない遠い世界への憧れから…。地下のお菓子売場でお菓子を買い、もぎりのおばさんにチケットを差し出し、扉を開けてくぐる暗幕は好奇心を刺激する知らない世界へ私を誘った。冬はスキー三昧で、スキーとスキー靴を担いで電車と汽車を乗り継いで通った仁山スキー場。駅からスキー場まで歩きゲレンデにたどり着く頃はかじかんだ手が痛かった。スキー場での楽しみはあったかい豚汁。スキーブームの起こる前でゲレンデは山男みたいなおじさんとマニアックなスキー好きがほとんどの頃。若かった私はお洒落なスキーウェアを探して市内のスポーツ店を探し歩いたのも懐かしい。1972年に札幌で開催された冬季オリンピックのテーマソング「虹と雪のバラード」が大ヒットし、スキージャンプで笠谷幸生の金メダルをはじめ銀、銅と、日本勢がメダル独占した快挙には日本中が湧き、スキーブームのきっかけになった。
土曜日ランチの定番ハンバーグ (30代選出)
パーラーフタバヤ
絶妙な甘さ加減のデミグラスソース、『フタバヤ』のハンバーグは土曜日のランチの定番でした。ショーケース内のメニュー見本はどれも美味しそうで一瞬迷うのですが、ジュージューと音をたてて運ばれてゆく鉄板皿が目の前を通ると、もう頭の中はハンバーグでいっぱい。一緒に行った同僚も音と匂いにやられ同じものを頼むのでテーブルに届くタイミングがそろい、限られた昼休みでもあわてずに食べられました。通う内、オーダーをとりに来たいつものウエイトレスさんが「皆さんハンバーグね」と微笑んでくれたあの日が忘れられません。ハンバーグ(スープ付)714円。
営業時間は午前10時〜午後8時30分(LO/午後8時)。年中無休。
●美原1-7-1(長崎屋2階)
Tel:45-1978
函館のポパイ、オリーブといえば… (30代選出)
お好み焼 赤坂
「お土産買ってきたよ〜、『赤坂』のお好み焼き」「やった〜!」。子供の頃週末の夜遅くの嬉しい1コマ。家で作るのとは大違いのフンワリ感。大人になったらお店でアツアツを食べたいなぁと思っていたもの。社会人1年生となり、先輩に仕事帰り寄りたい店を聞かれて真っ先に答えたのがここ。ポパイとオリーブをモデルにした似顔絵看板そっくりなマスターとママに会えて感動。目の前の鉄板で焼かれる海老の塩焼きや生しいたけに「グルメ番組みたい」とはしゃいだのがつい昨日のようです。写真はミックス焼(850円)、当時から変わらぬ人気の逸品。
営業時間は午後5時〜深夜1時(LO/深夜0時30分)毎月第3月曜日定休、駐車場有。
●千代台町2-16
Tel:51-1212
残業時の夜食、至福の中華飯… (40代選出)
中華飯店 八宝園
若い頃、市内高盛町の『中華飯店 八宝園』のすぐ近くで働いていたことがある。残業が多い職場だったので、いつもこの店から出前をとって食べていた。僕がよく頼んでいたのは、「中華飯」(800円)。丼にたっぷり盛られた具だくさんの醤油味の餡の下にはホカホカのご飯。餡とご飯、そしてトロトロ目玉焼きの組み合わせがとにかく最高。ぜひ1度、ご賞味あれ! 市内高盛町で35年愛され続けたこの店のメニューはどれも美味しく、中華飯のほかには1番人気の「五目やきそば」(800円)や「味噌ラーメン」(650円)が特におすすめ。全部で7種類の定食も見逃せない。
営業時間は午前11時〜午後2時、午後5時〜午後8時。毎週木曜日定休。駐車場有。
●高盛町25-1
Tel:31-1771
憧れの「肉大」よ、永遠に… (40代選出)
マルキン焼そば
通っていた高校が私服だったこともあり、高校時代は友達とよく大門に服を買いに行った。買い物の後に立ち寄ったのが、焼きそば専門店として超有名な『マルキン焼そば』。創業は何と昭和29年の老舗。2代目・金山博臣店主の記憶によると、僕の高校時代(昭和50年代の終わり頃)の「並盛」の値段は250円、「肉大」は500円だったそう。高校時代はお金がないから当然「並盛」。「肉大」は憧れだった。ちなみに、自分の給料で初めて食べた「肉大」の味はいまでもよく覚えている。「オレ、大人じゃん」って感じた。現在は「並盛」が400円、「肉大」は630円。ほかにも、「肉玉大」(680円)など各種メニュー有。
営業時間は午前11時30分〜午後7時。毎週水曜日定休。
●松風町10-11
Tel:22-7616
濃厚なアイスとサクサクフレーク (50代選出)
五島軒本店レストラン 雪河亭
来年、創業130年の老舗『五島軒』で昭和40年登場の「ゴールドピーチサンデー」(530円)は、私にとってまさに青春の味。映画を観た帰りにいまはない『五島軒』の駅前のレストランに立ち寄り、注文するのはいつもこれ。五島軒本店「雪河亭」に幻の味を訪ねました。カスタードクリームがかかった濃厚なアイスに黄桃と白桃が添えられ、下のコーンフレークスと混ぜながらいただくと懐かしい味そのまま。この味を求めて、東京からの旅行客が訪ねて来たこともあるそう。洋食を盛り合わせた「週替わりランチ」(1260円)もおすすめ。ゴールドピーチサンデーだけの注文の場合はランチタイムを避けてどうぞ。
営業時間は午前11時30分〜午後8時30分。
●末広町4-5
Tel:23-1106
コーヒーの香りのソフト (50代選出)
コーヒールームきくち
海遊びの帰りに立ち寄った『コーヒールームきくち』の「モカソフト」はコーヒーの香りと控えめな甘さが昔から変わらない。落としたコーヒーを使用したオリジナルの調合と、ザラッとした独特の食感がほかのソフトとはひと味違います。さっぱりした後口が美味しいと昔からの人気。テイクアウト230円で店内で食べる場合は300円。また、3種類のソフトクリームからお好きなものを選べるパフェも人気。チョコレートパフェやキャラメルパフェなど5種類で、店内での注文のみで600円。軽食で人気は「スパゲッティナポリタン」(580円)で、懐かしさから注文する人も多いそう。
営業時間は午前9時〜午後10時20分。無休。駐車場有。
●湯川町3-13-19
Tel:59-3495