起業の仕方と体験談
2005-01-14 vol.316
起業の仕方!好きなことを自宅開業から始められるノウハウ
近頃、「プチ開業」なんて言葉がにわかに流行しています。趣味や特技を活かして、週末や空いた時間などにちょっとしたビジネスをはじめることを、そう呼ぶそうです。例えば仕事や家事に追われ混沌と毎日が過ぎてゆく中、本当に自分の好きなことをやりたいと思ったり、いつかは独立したいと考えたりということは誰にでもあることなのかも知れません。また、結婚して1度は職場を退いて子育てに専念してきた女性が、子育てが一段落した後に久々に仕事に復帰したいと思っても、
まだまだ厳しい社会情勢の中、そうした人達に対しての企業の門戸は決して広いものではありません。それなら自分の趣味や経験を活かしたリスクの少ない小さなビジネスをはじめたほうが…そんな人達にオススメしたいのが、プチ開業です。
プチ開業の基本的な考え方は、大きな収益を期待するというより自分の好きなことを人のために活かすという、自己実現こそが主たる目的。大きな儲けを期待するわけではありませんから、リスクも背負う必要はありません。会社を辞めずに、または主婦業と両立するなど、現在の生活を大きく変えることなく、自由になる時間を活用してビジネスをするという点が魅力です。
今回は、プチ開業するためのちょっとしたノウハウや、実際に函館市内でプチ開業している人達にスポットをあててみました。新しい年こそ何か新しいことをはじめてみたい…そんな風に考えている人はぜひ、自分が本当にやりたいことを見つけて、プチ開業してみてはいかがでしょう。
まずは自分が何をしたいかを考える
まずは自分が何をしたいのか、何ができるのかを考えましょう。いくら“プチ”といっても、収入を得るからにはそれなりのレベルの高さは必要です。決して焦らずに、まずは、技術の習得や情報収集など、十分に準備をすることが大切です。
どこで展開するのかが肝心
開業=店舗とすぐに考えるのは、早計に過ぎるというものです。店舗を借りるにはそれなりの資金が必要ですので、例えば家族の理解を得られるのであれば、自宅の1室やガレージを利用したり、あるいはインターネットにホームページを開設して開業するという方法もあります。プチ開業の内容に応じた展開の仕方を考えましょう。
準備資金について考えよう
プチ開業の資金は、何をするかによって様々ですが、大事なことは、先のことまで見据えた計画を建てるということ。資金が少なすぎると、ビジネスが拡大した時に行き詰まる恐れがあり、かといって最初からの大量仕入れなどは大きなリスクにつながります。売上目標をしっかり立てて、資金計画を練り上げてゆくことが大切です。
届出の知識も学ぶこと
個人で仕事をはじめるには、原則として「個人事業主」の届出が必要です。所得が290万円を超えると事業税が発生します。納税は自己申告となりますが、「青色申告」は売上が伸びるようになった時に、節税につながります。個人事業主の届出について今回は『青色申告会』に詳しい話を伺いましたので参考にしてみて下さい。また、会社員が副業で得た所得は雑所得となりますが、年間20万円以下ならば確定申告の必要はありません。さらに、飲食を扱う開業に関しては、原則として保健所への届出が必要となります。こちらについても『市立函館保健所』に詳しい話を伺いましたので、ぜひ参考にして下さい。そのほか、地域によっては各種の開業が許されない場所もあるので、そういったことも事前に調べておく必要があります。
目次
【飲食業開業の際に必要な許可】市立函館保健所生活衛生課食品衛生係
飲食店の営業や、各種食品を製造・販売する際は、事業の規模や販売金額などにかかわらず許可が必要となります。申請内容は扱う食品や営業形態により様々ですが、原則としてプチ開業の場合でも、調理師免許取得者などの有資格者を食品衛生責任者におく必要があります。資格がない場合は、函館市でも実施される食品衛生協会の講習会に参加すれば、食品衛生責任者になることができます。また、申請には厨房の配置図面などの書類が必要で、申請後、担当職員が現場を調査し、その後許可がおります。函館市内での営業の窓口である市立函館保健所にも、自宅で食品を作って販売したいという相談者が訪れているようですが、衛生上、自宅に手を加えないと許可がおりないケースが非常に多いので、まずは保健所の窓口の相談を受けてから、自宅の改装に取り組むのが早道のようです。そのほか、地域によっては開業が許されない場所もあり、こちらは市都市建設部の所管になります。
各種相談は市立函館保健所生活衛生課食品衛生係
Tel:32-1523まで。
親切にアドバイスしてくれるそうです。
【個人事業の届出と税金の知識】函館青色申告会
開業にあたっては、税務署に提出しなければならない届出があることをご存じですか?
最初に必要な届出は
- 開業届出書(開業した日から1か月以内に税務署へ届出)
- 青色申告承認申請書(開業した日から2か月以内に税務署へ届出)
- 青色専従者給与に関する届出書(事業に従事する家族に給与を支給する月までに提出)
以上の3つです。
また、売上から仕入れと経費を引いた利益が38万円を超えた場合に申告が必要になります。毎日の取引を記録し、所得金額を計算して申告する青色申告は、各種特典が認められ、節税につながります。
函館青色申告会では、関係官庁への届出書類についての指導や、主婦が開業する場合の夫の税金面についてどのような影響があるかなどについて、分かりやすくアドバイスしています。仕事の内容や収入や支出など、事業の将来の見通しなどについても相談に応じてくれます。
開業相談は無料なので、ぜひ訪ねてみてはいかがでしょう。
函館青色申告会の所在地は
五稜郭町16-13、
問い合わせは
Tel:55-3271まで。
ネイリスト
アフターファイブはネイリスト 斉藤 瑞枝さん
ネイルアートというものが日本に上陸して以来、日本中の多くの女性がすぐに、その指先の美しさに夢中になった。市内在住の会社員・斉藤瑞枝さんもそんな1人。彼女の場合はその巧みなテクニックを自身も身につけたいと強く願った。
2年前の秋、新聞で『ネイルスクール・アフロート』のオーナーの人物紹介の記事を読み、すぐに同スクールを受講。週に3〜4日、仕事が終わってから熱心に技術を学び、およそ3か月で2級ネイリスト試験に合格。その後、友人が経営するエステサロンで少しずつネイルの仕事をするようになり、昨年春に念願の1級ネイリスト試験に合格した。
現在は市内各地で開かれているイベントに派遣ネイリストとして参加しているほか、ネイルサロンのホームページ上で自作のチップを販売している。
「会社の仕事との両立は大変ですが、それでもアフターファイブに好きなことに熱中できることで、毎日が充実しています」
現在、全国のネイリスト達と腕を競うコンテストへの出場を目指して、連日深夜にわたり技術を研鑽中。「函館を出たことがないので、自分の技術がどれぐらいのレベルなのかを確認したい」のが理由とか。
趣味を仕事に…、全国レベルへの挑戦…それらはこの街でも、実現できる——。
動機/ネイルスクールのオーナーが掲載された新聞記事を読んだこと。
準備/技術講習会への参加
トータルネイルコース〈ネイルの基礎・エクステンションコース・ネイルアート・フットケア〉 受講料42万円
(120時間+補習授業)
資金/道具一式などで5〜6万円
問/ネイルサロン・スクール アフロート
●末広町13-5
Tel:22-1135
パン店経営
ほかほかパンで地域交流を… 酒谷 典子さん
開店以来、今年で11年目を迎える『わいわい工房Konno(コンノ)』。「亡くなった両親の生き方を何かの形で引き継ぎたいと思っていました」と話すのは代表者の酒谷典子さん。「女性も仕事を持って生きるように」と小さい頃から話していたお父さん…。雑貨店で地域の人と交流していたお母さん…。お母さんが亡くなった後、空き店舗を見て思い浮かんだのは、主婦仲間とはじめるパン作り。その頃、酒谷さんはパン教室に通っていて、家族のためにパンを焼いていたことから、パンを通して地域の人と交流したいと、主婦仲間6人とパン屋を開店。店をはじめるにあたっては、「母親が築いた地域との繋がりを続ける」「家庭にいる女性の能力を活かせる場を作る」「添加物のない安全で美味しいものを提供する」という3つの目標を掲げた。
「スタッフに恵まれ、お客さんに支えられました」とは酒谷さん。穴のあいた食パンや塩を入れ忘れたパンを作ってしまったりと、失敗を重ねながらも、安全で体によいものを…という願いから品質は決して落とさなかったのが自慢。形は悪くても安全な物を食べたいという理由から、この店のパンしか食べないという根っからのファンも増えている。
また、地域交流の一助に…との思いから、店の横ではリサイクルショップを開き、その売上を知的障害者施設に寄付している。
動機/亡くなった両親の生き方をみて、地域社会に貢献したかったこと。
準備/パン教室でパン作りの技術を取得
資金/店舗の改装や、オーブンのための備品に110万円
問/わいわい工房Konno(コンノ)
●湯浜町13-20
Tel:55-7911
英語教室経営
英語と日本語で広がる国際交流 入江 真由美さん
市内桔梗町の自宅で英語教室を開く入江真由美さんは、12年前から小学生、中学生、高校生に英語を教えている。
学生時代から英語が好きだった入江さんは、3人の子供の子育てが一段落した頃から英語を仕事に生かしたいと、ラジオ英会話で勉強をはじめた。下の子供が幼稚園に入ったのをきっかけに、英語塾の講師募集の試験を受け、仕事をはじめた。その後、子供が学校から帰った時に家にいたいという思いから、自宅に教室を開設。最初の頃は1時間のレッスンプランを立てるため、準備に2〜3時間も費やしたのだとか…。低学年には飽きないようにゲームを取り入れるなど工夫を重ね、また、学年が進んで難しくなる内容に合わせ、自分も勉強を続けている。
3年前、子供が留学する時に、各学校に配置されている英語指導助手のAETや留学生に日本語を教える日本語教師をはじめた。アメリカのミネソタ州から来ていたAETのアリシアさんが、日本で受けた親切のお返しにと、子供の渡米後、親身になってお世話してくれたという。そのことがきっかけとなり、日本に来ている外国人に何かできれば…との思いから、ら、日本語教師をはじめたという。
日本語を教えるだけでなく、文化や習慣の違いによる困り事の手助けになれば、というのが、現在の思い。
動機/好きな英語を生かして仕事に繋げたいと思ったこと。
準備/英語と英会話の勉強
日本語教師の勉強
資金/教材とチラシ配布に5万円
問/入江英語教室
●桔梗2-23-6
Tel:46-6753
エステ・ネイル・ヘアメイク技術者
会社勤めから一転、ゼロからの挑戦 辻村 博美さん
もっと目標を持って生きるべき——。
利用客の1人として通っていたエステ&メイクサロンのオーナーに、そんな風に言われたことがきっかけで、今年から念願のプチ開業にチャレンジしようというのが、辻村博美さん。
4年ほど前に知人の紹介で訪れた『MICコスメティックプラザ七重浜』で肌のお手入れを受けるうちに美容技術に興味を持ちはじめ、自分の美容のためにと、オーナーから技術を学ぶようになった。技術を学んでゆくうち、夢は「自分が綺麗になること」から「人を綺麗にして喜ばせること」に…。やがて、MIC主催のエステ、ネイル、ヘアメイクの講習会全てに、1年以上の時間をかけて参加し、さらに技術を高めた。
「会社をやめると収入がなくなるから不安はありました。でも、人生の目標を持てない自分から脱皮したいという気持ちも…。そんな時、サロンのオーナーや、東京でヘアメイクアーティストをしている友人に背中を押され、思い切って会社を辞めることにしました」
昨年12月末に、13年間勤めた職場を退職。今後は仕事の依頼があった時のみ、『MICコスメティックプラザ七重浜』のサロンを使わせてもらう形で、仕事をしてゆく計画。
「依頼がなければ収入もない。不安もあるけれど、やっと本当の自分らしさを見つけられたような気がしています」
動機/美容技術を身につけるうち、人を綺麗にしてあげることへの興味が深まったこと。
準備/技術講習会への参加
エステ(期間:6か月、受講料42万円)
ネイル(期間:6か月、受講料42万円)
ヘアメイク(期間:3か月、受講料26万円)
資金/特になし
問/MICコスメティックプラザ七重浜
●上磯町七重浜2-33-49
Tel:49-8319