美味しいワインの種類
1998-03-24 vol.147
ワインのプロの聞いた簡単な選び方と美味しい飲み方
数年前まではちょっと気取ったお洒落なお酒、というイメージがあったワイン…。近頃は港のワインブームにより、ワインはとても身近で気取りのない飲み物として親しまれるようになりました。でもやっぱりワインは他のお酒に比べてラベル表示も分かりにくく、赤、白、ボルドー、ブルゴーニュ、セカンド・ラベル、ヴィンテージなどなど、聞いただけで面倒なほど種類があって敬遠してしまう…。気軽に楽しむなら、どんなワインを選べばいいの?どんな店なら気軽にワインを楽しめるの?と思っている方も少なくないでしょう。
ワインにハマル…
さあ、気軽に飲みはじめよう!
今回は、函館市内在住のワインコレクターであり、自らのコレクションが高じてバーを開店してしまったほどの木下博喜さん(30歳)に、気軽にはじめられるワインの楽しみ方について聞いてみました。木下さんによると「ワイン選びは、例えばレコードジャケットを見てレコードを買ったり、本の題名や表紙を見て本を買ったりする感覚からはじめてみると良いのでは」とのこと。つまり、値段や銘柄などにあまりこだわらず、瓶を手にして「これ、美味しそう…」と思ったらまずは買って飲んでみるべし、ということ。そうやって選んだワインが本当に美味しくてうれしい気持ちになったら、ワインの楽しさが始まるのだと言います。
コンビニエンスストアに売っている安価なワインでもOK。キッチンにある料理用ワインをひと口…なんていうのももちろんOK。ワインのコルクをカッコ良く“ポーン”と開けられるようになる頃、あなたもきっとワインの魅力にハマっていることでしょう。面倒なうんちくは後回しにしてまずは乾杯!でも、飲み過ぎには気をつけましょうね…
木下博喜さん(30歳)
22歳の時、東京都内のレストランで働いていた頃、初めてワインの魅力と出会う。以来、特に赤ワインに関しては無類のコレクターとして世界中のワインに造詣を深め、昨年9月、趣味が高じて市内富岡1丁目に『BAR木下酒店』を開業。フランスワインを好んでいるが、最近は安くて美味しいチリワインに注目しているとか。
さあ、ワインを買いに行こう…
冒頭から面倒くさい話になるが、ワインはブドウの出来によりその価格が決まってくる飲み物で、その評価は“ヴィンテージチャート”などで表わされる。しかし、これは必ずしも味の善し悪しを直接表すものではなく、一般的にヴィンテージワインは飲み頃になるまで何年も熟成させる必要があり、そうでないワインの方が割合早くから楽しめる。ワイン選びの第1のポイントは“どう飲むか”であろう。
買ってからすぐに飲むのであれば、最近コンビニエンスストアなどでもよく売られている手頃なワインがオススメだ。
赤、白、そして辛さや酸味など選ぶポイントはさまざまで、よく「肉料理には赤、魚料理には白」などと言われるが、ラベル裏の辛さのレベルなどを見ながら、自由な感覚で選んだほうが良いだろう。
ワインの飲みごろと適温
ワインには“長期熟成タイプ”と“早飲みタイプ”がある。長期熟成タイプは5年、10年と熟成させ飲みごろを楽しみにするのが醍醐味。一方、早飲みタイプは日常用に作られており、比較的価格は手頃。店頭に並んだ時に飲みごろを迎えている。
ワインは温度によって味わいが変わる。温度が低い時は酸味や渋味を感じ、高くなると甘みやコクを感じ、香りも増す。
赤ワイン
渋みあるタイプ=16~20度、渋みが軽い果実味のあるタイプ=14~16度。
白ワイン
コクのあるタイプ=12~16度、軽くフレッシュなタイプ=6~10度、甘口=4~6度。
発泡性ワイン
4〜8度。
ワインの保存について
ワインは瓶の中で熟成する生き物、なので、温度や湿度などによって品質が変化する。劣化の主な原因は、コルクが乾燥して隙間ができ、そこから空気が入ってワインが酸化すること。それを防ぐために瓶を寝かせるが、今回取材した木下さんによると「すぐに飲むものであれば立てておいてもかまわない」とのこと。また、コルクを通じて周囲の匂いがワインに移ることがあるので、匂いのある物の近くには置かない方がいい。
飲み残したワインは、2〜3日は大丈夫である。劣化の進行を防ぐため、小瓶に移して栓をしたり、専用のキャップをして冷蔵庫に入れる。
赤ワインとチーズで至福のひととき
ワインは色々な料理に合うが、やはり赤ワインとチーズの組み合わせが最高である。木下さんがおすすめのチーズは、表面に白カビをつけて熟成した、いわゆるカマンベールと呼ばれる種類や、熟成の際に塩水や酒類で洗いながら独特の菌で熟成させるウォッシュタイプのチーズ、青カビが内部に入り込んだブルーチーズ、さらにヤギの乳で作ったクリーミィーな種類など…。「ちょっとクセのあるチーズを口に入れると、独特の食感と匂いが広がります。その時、辛口の赤ワインを飲むとその組み合わせが最高」と、木下さん。赤ワイン&チーズで至福のひとときを…。
※おつまみ選びからグラス選びなどまで、ワインの楽しみ方は実に奥深いものです。専門書に目を通しても楽しいですよ。
ちょっと知っておきたい…ワインのあれこれ…
ユーフラテス川が氾濫し、船大工たちは赤ワイン、オリーブオイル、白ワインを飲み、7日目に船を完成させた紀元前2000年頃に書かれた叙事詩である。ワインの歴史は古い。そしてそのルーツはヨーロッパにある。現在でも“ワイン王国”として不変の地位を築いているフランスのボルドー、ブルゴーニュといった地方のワインはもとより、生産量、消費量共にフランスワインと肩を並べるイタリアのワインなど、ワインといえばやはりヨーロッパというイメージが強いが、最近は安価で飲みやすい南米産のワインも注目されはじめている。各国のワインについて簡単に説明すると…
フランスワイン
気候が温暖で水利に恵まれ、古くからワイン生産地として栄えたボルドーと、ボルドーに比べ緯度が高くブドウの酸味豊かなブルゴーニュが代表的。産地やブドウの種類の違いで様々なタイプがあるフランスワインは、まさにワイン王国の名にふさわしい。
イタリアワイン
フランスと並ぶワイン大国で、そのルーツは古代ローマ時代以前にもさかのぼる。南北に起状の富んだ国土全域でブドウが栽培され、バラエティに富んだワインが生まれており、日本でも人気が高い。
日本ワイン
日本のワインのはじまりは明治時代といわれている。梅雨や台風、湿度の高さなど、ワイン作りは難しい環境だが、ワイン作りのパイオニアの夢と情熱が実を結びはじめ、近年はヨーロッパ勢も目を見張るものが登場している。
チリワイン
最近、急激に注目されはじめており、ヨーロッパと同じ地中海性気候で生まれた味わいが特徴。“安くて美味しいワイン”として、今後ますます注目されそうだ。
アルゼンチンワイン
この6月のフランスワールドカップで日本と対戦することになったサッカーの国、アルゼンチン。実は世界で5本の指に入るワインの大量生産国なのである。常に乾いた風が吹きつけるこの地で作られるワインは、凝縮感あるバランスのとれたワインを生み出すことで知られている。
ワインのラベルには何が書かれているか
ラベルにはワインの名称、原料ブドウの生産地、ブドウの収穫年、等級、アルコール度数、容量、生産者、原産国などが記されている。ボルドーの場合だと、まず大きく書かれたものがワインの名称で、「シャトー○○」と書かれている時、シャトーとはワイン生産者を意味する言葉なので、生産者名がワインの名称になっている。
ボルドーワイン豆知識
“ボルドーを知らずしてワインを語るなかれ”といわれるほど有名なボルドーワイン。
ボルドー選びの豆知識を覚えておくと役に立つ。
ヴィンテージ
ワインの原料であるブドウの出来によってヴィンテージが決まるが、評価の高い年のワインは飲み頃になるまで熟成させる必要があるので、早く飲むならそうでない年のものを選ぶ事も大切。
セカンド・ラベル
シャトーで穫れたワインのうち厳しい基準に達しなかったものを、さらに選別して造るもの。格安で美味しいワインを求める方におすすめの種類だ。
BAR木下酒店
気取りのない店で本格的ワインを気軽に飲んでみようという方は、今回取材させていただいた木下博喜さんプロデュースの店『BAR木下酒店』に足を運んでみよう。
木下さんオススメのワインは、香りの良さが心地良い今話題のチリワイン「ロス・ヴァスコス」(赤/3,800円)、日本でもおなじみのブルゴーニュワインを代表する「ジェレ・シャンベルタ」(赤/3,900円)、セカンド・ラベルとしてぜひおすすめのフランスワイン「レ・フィエス・ド・ラグランジュ」(赤/4,800円)、同じくセカンド・ラベルのフランスワイン「レ・フォールド・ラトゥール」(赤/6,800円)、フルーティーで飲みやすいフランスの「ヴァケーラス・ルージュ・アルター」(赤/3,000円)、以上、写真左から。
赤ワインにぴったりのチーズ盛り合わせ(800円~)なども用意されているほか、ワインをベースにしたオリジナルカクテルもあり、老若男女問わず、気軽にワインを楽しめることうけあいの一軒だ。
PM7:00~AM1:00
日曜・祝日定休
●富岡町1丁目7-8
Tel:42-8758