新年度に向けての抱負
1998-02-27 vol.145
春は新年度に向けて新しいことを始めるのにベストシーズン
雪も解け、いよいよ待ち兼ねた春がやってきます。人生の新たな旅立ちを迎える方々にとって、この春は晴れがましさと不安とが入りまじった、緊張の季節ではないでしょうか。これから小学校に入学する新一年生をはじめ、新入社員、新入学の学生、新生活に入る新婚さん、お母さんになる方も、反対にお子さんを旅立たせるお母さんも、長年の仕事を終えて第ニの生活に入るお父さんもみんな、それぞれにとっての新たな出発のスタートラインに立ったところ…といえるかも知れません。
やわらかい日差しとやさしい風…待ちに待った素敵な季節がやってきます
それぞれの春
北国の厳しい冬の季節をくくり抜けて、暖かい陽光のもと、ものみないっせいに茅吹く春。
冷たく暗い冬の季節があったからこそ、春のやわらかな日差しがよりいっそう素晴らしいものに感じられるのでしょう。
失敗や、思うようにいかない焦りや、もろもろの思うに任せない事柄があっても、くじけずに、またあしたから頑張ろう、そんなふうに前を向いていたいもの。
春というこの季節にはなぜだか前途に暖かいものが待っていそうな、そんな予感を感じます。
はじめて幼稚園や小学校にお子さんを入園、入学させるお母さん。お子さんが毎日無事に通えるだろうか、集団の雰囲気に溶け込んで友達とうまくやって行けるかしら、などと今から心配されていることでしょう。
はじめはなかなかうまくいかないかも知れません。でも子どもはおかあさんが心配するより、ずっとたくましいもの。だいじょうぶ!きっとうまくいきます。ても、安心しきって、これで親の自由な時間ができるとばかり、急に手を放してしまわないでくださいね。子どもはお母さんが見ていてくれると思うからこそ安心して伸び伸びてきるのですから。
一方、初めてというのは、子どもだけてなく先生にもあることです。学校を卒業して初めて教師という職業に就くという方々です。
このところ、学校と子どもたちをめぐって、さまざまな問題が巻き起こっていて、残念ながら不幸な事件にまで発展してしまう例も後を断ちません。
子どもたちの置かれている今の難しい状況は、大人社会のある意味で縮図ともいえるかも知れません。でも子どもはだれもが大きな可能性をもっているもの。少し前まで子どもだったご自分のことを思い起こしてどうかせいいっぱい、子どもたちの心に寄り添っていただきたいと思います。新たなスタートを切る方々それぞれの前途が、どうか明るいものでありますように。
やさしさに包まれて…私たちの春
努力してつかんだ春
高3 平野 佐知さん
高校に入学した時から美術の学校に進学したいという夢を持って絵画教室に通っていた平野さんでしたが、途中、経済的な事情と、自分自身が美術の道に進むことに疑問を感じはじめ、3年生の後半になってから進路を変更しました。
東京の4年制大学経済学部の推薦入試を受けることに決めたのが3年生の9月。入試まで2ヵ月しかありませんでした。それからが大変。受験科目がまるで変わり、経済の勉強と小論文の勉強に必死で取り組みました。
受験後、結果発表までに日数がかかり、その間とても不安でしたが、頑張ったかいあってみごと合格。必死で取り組めば道は開けるものだとしみじみ思ったそうです。
こうしてつかんだ平野さんの春…。大学入学後の抱負は、まず勉強に頑張って取り組むことと高校ではあまり遊べなかったので遊びに行きたいそう。それにバイトもしなければならないので、3つともちゃんとこなせるか少し不安だけれど頑張りますとのこと。
高校の3年間、休まず絵画教室に通ったことは、直接受験には役立たなかったものの、受験の際の頑張りにつながったと思うそうです。頑張り屋の平野さん。もちろん大学生になっても絵はずっと続けてゆくつもりです。
お菓子に春をのせて
『ひとり風』 店主 吉川 輝昭さん
昨年2月に開店した和菓子店『ひとつ風』の店主、吉川さんは菓子づくり38年。独立して2度目の春を迎えました。ようやく自分の色を出せるようになったと言います。「時代やくらしに合わせて和菓子も変わってゆかなければと」と、今も新しい色や素材の勉強を続けています。
春風のような淡い色と澄んだ味がここのお菓子の持ち味。淡い中間色を使い、澄んだ色と味に仕上げることを目標にしていると言います。「じっと見ているとふわっと浮いてくるような色使いを目指したい」と。お菓子を作る時は頭の中に、色や形を思い浮かべ、それを絵に描くように作り上げていくのだそう。イメージ通りに仕上がった時は、これでお客様に喜んでもらえるとホッとするとか。お菓子づくりの魅力について尋ねると「この道しかなかった」と答える吉川さん。その姿勢は普段のくらしの中にも現れ嫌な色は身の回りに置かない。舌をこわさないため、毎日の食事の素材は自然のものにこだわる程。生き方すべてがお菓子のためにあるような、そんな姿が浮んできます。
豆、砂糖、米など素材は畑から届くもの。それを活かしたお菓子を作り、毎日の暮らしに心の和むひとときを届けたいと作り続ける毎日です。
新しい生命の誕生と共に…
今春、出産を控える 鍵谷 淳子さん
春になると雪が解け木には芽がついたり、花が咲いたりとあちこちで新しい生命の誕生があります。
杉並町の鍵谷淳子さんは、今春2人目の赤ちゃんの出産を控えています。新しい生命の誕生を待つ鍵谷さんは、ひとり目の妊娠の時とはまた違う喜びを感じているようです。な「久美がおなかにいる時は、初めての妊娠ということもあり、心配や緊張もありました。大事をとり、栄養や休養をたっぷりとって、妊娠生活を満喫して過ごしました」という鍵谷さんですが「今は子育てもあり、ゆっくりすることもできなく、妊娠中であることを忘れてしまう瞬間があります。そんな時、おなかの赤ちゃんが動くと、新しい命の存在を改めて感じることができ、気が付かせてくれるおなかの子どもがとても愛しくありがたい」といいます。東京から移り住み、北海道の冬にまだ慣れていなく、妊娠中ということもあって、なかなか外に出られないそうで、雪解けに始まる新たな育児と、冬からの解放を心待ちにしていると笑顔で話してくれました。ご主人も、そして久美ちゃん(2歳)も、毎日1度はおなかの赤ちゃんに話しかけ、おなかを撫でてくれるそうです。和やかな風景がとても新鮮でした。
現場で理科の面白さを伝えたい…4月から教師生活が始まる
斎藤 亘さん
小さい頃から理科の先生になることが夢だったという斎藤亘さん22歳。
今年度の北海道教員採試験に合格し、4月からは晴れて学校の教壇に立つ。
教師になろうと思ったきっかけは「小学校5年生のときに、本当に尊敬できる先生に出会えたから、」だとか。「この先生はクラスの中に1人の主役を作るのではなく、みんながクラスの中心になれるような学級作りをしてくれた。そのおかげで1人1人に印象が残り、今でもそのときのクラス全員のフルネームを覚えている」という。ところが斎藤さんの将来の進路を決定的にさせたのは、中学校で負のイメージの教師に出会ったからだという。「理科の授業中にとにかくダラダラと長話をする先生で、その人のために理科が嫌いになる生徒が続出した。自分は理科が大好きだったのでそれががまんできなかった。理科の面白さを伝えられる先生が1人でも学校現場に増えたらいいな」と、その頃から夢は現実目標に切り変わった…。高校入学後も将来を見すえて、大学は教育大1本にしぼっていたという。
「自分が持っているものは全部子ども達に与えたい。いつも一緒に悩み、共に汗をかけるような教師になりたい」とさわやに抱負を語ってくれた。