青いぽすと

函館の人気塩ラーメン

2004-01-16 vol.292

1杯200円!?函館の塩ラーメンが人気の漁火通拉麺屋さん6店

函館空港方面から市内谷地頭方面へ向かう海沿いの国道278号線は津軽海峡に浮かぶ幻想的な漁火を望むことから、通称“漁火通”と呼ばれている。市民はもとより、観光客も多数行き交うこの通りは実は最近、評判のラーメン店が幾つも軒を並べる、市内屈指のラーメン激戦区として注目されているのだ。

【本紙記者が行く】漁火通のラーメン屋さん巡り

さて今回、実に久しぶりの企画となった本紙恒例・記者の食べ歩きシリーズはズバリ、評判のラーメン店が点在する漁火通で噂のラーメンに着目して食べ歩いてみた。掲載したラーメンはいずれも、本紙読者などの意見によりノミネートされた各店の店主が、自慢の逸品として自ら選んだモノ。

寒い季節はやっぱりラーメンが1番。この冬はじっくり時間をかけて漁火通のラーメン店を食べ歩いて、あなたの舌にぴったりの1杯を見つけてはいかが——。

今回の食べ歩き記者漁火

青山 慎司 Shinji “shin” Aoyama

本紙副編集長。ライター&編集者歴は今年で18年目に突入。これまで取材してきた飲食店を挙げればキリがない。ここ数年は編集業務が中心で、食べ物の取材はもっぱら後輩任せになっているが、イタリア料理とイタリアワインをこよなく愛するほか、最近は釣りにハマって、釣った魚を自分でさばいて料理するなど、食へのこだわりはまだまだ健在。自慢の“マイ出刃包丁”も伊達ではない…。

大場 小夜子 Sayoko “345” Ohba

本紙の看板コーナーのひとつ『今日のランチタイム』を担当するほか、函館市内のさまざまな話題から読者の素朴な疑問に対する調査まで、あらゆるジャンルの取材をこなすベテランライター。それまでの経験が認められ、数年前より『函館短期大学付設調理師専門学校』の、生徒の技能検定のレギュラー審査員を務めている。大のアジア通で、エスニックなどアジア系の料理にはなかなかうるさい。

鈴木 麻代 Asayo “A-chan” Suzuki

ご存じ、青いぽすとの“元気印”ライターとして、お洒落情報や体当たり体験取材を主に担当。新しくオープンした美味しい店をいち早くみつけるそのフットワークには定評があり、これまで和食からカフェめしまで、さまざまなジャンルの食べ物を取材してきた。また、お洒落やダイエットにも強い関心があり、今回はズバリ、美味しくてヘルシーな“女性にウレシイ”ラーメン探しに気合いが入っている。

高橋屋

試行錯誤の上、昨年11月から一新したという塩ラーメンは、清湯スープと和風スープをほどよくブレンドしたあっさり系のスープとコシの強いちぢれ太麺が特徴の人気の逸品。トッピングに加えられた岩海苔が特にオリジナルで、独特の風味を演出する。この店は「味噌ラーメン」(700円)や「チャッチャッ系醤油ラーメン」(650円)を看板メニューに大人気を集める有名店だが、新しくなった塩ラーメンもぜひ1度、ご賞味あれ。

塩ラーメン 600円

青山

まずはコシの強い麺が、めちゃめちゃ美味しい。スープも今まで味わったことのない深い味わいを楽しむことができた。さらに注目はトッピングの岩海苔。新感覚のラーメンを食べたいという人にぜひ教えてあげたいと思う、最高の塩ラーメンだった。

大場

旨味のある岩海苔にコクのあるスープがしみ込み、これがいい組み合わせ。麺はそれだけ食べても、味を感じる。これにもなにか秘けつがありそう。淡白な塩ラーメンが多い中、コクと旨味がたっぷりで、この味はここだけのもの。

鈴木

スープの味に違いあり! 中華スープのような味わいと、岩海苔の風味がとてもいい。歯ごたえがあり、コリコリとした食感の麺も私の好みにピッタリ。最後まで食べ飽きないので、大盛りでもイケそうなラーメンだ!

●大森町33-1
Tel:27-3313

りんさん

創業昭和23年の老舗。平成11年に市内松風町より現在地に移転した。カキラーメンはもともと、この店自慢の塩ラーメンに牡蠣を入れ、店の人が“まかない”として食べていたものだったが、塩味スープのあっさり感と牡蠣のプリプリ感のハーモニーを多くの人に楽しんでもらいたいと、10数年前にメニューのラインナップに加えられた。生牡蠣100gが入ったラーメンは味、ボリュームともに抜群の逸品。3月末までの限定メニュー。

カキラーメン 800円

青山

もともと生牡蠣は大好きなのだが、いつもとは違った食べ方ができて感激。食べる前は牡蠣鍋のような雰囲気をイメージしていたが、スープの中の牡蠣は生牡蠣そのもののプリプリ感をキープ。老舗ならではの職人技を感じた。

大場

アツアツのラーメンなのに、牡蠣は生牡蠣を食べているようなプリッとした食感。こういうふうに作れるのは職人技だから? ほのかに感じる牡蠣の風味のスープとストレート細麺が絶妙のバランス。栄養もたっぷり、冬季限定。この時期はずせない1品。

鈴木

こういうラーメンは初めて食べました。家で牡蠣を使った料理はほとんどしないし、牡蠣フライだと食べた時の感触があまり好きでなかったのですが、ここのラーメンの牡蠣は柔らかく、しかも歯ごたえがあってグー。また、食べたい。

●湯川町1-9-13
Tel:57-7756

麺ばやし

麺の種類が「燻煙たまご麺」と「お炭入り麺」(黒麺)の2種類あり、すべてのラーメンにおいて好きな方を選ぶことができる。ちなみに、燻煙たまご麺は麺に燻煙の成分を、お炭入り麺は薬用のもみがらの炭を微粒子にしてそれぞれ練り込み、旨味成分を引き出している。今回の取材では燻煙たまご麺を試食。桜チップのほのかな香りが食欲をそそるちじれ麺は独特。プリプリの海老との相性も抜群といえる。

海老入り塩ラーメン 750円

青山

とろりとしたあんかけスープはあっさり系。そのスープが燻煙たまご麺の香りを封じ込めていて、箸を入れた瞬間にいい香りが漂ってくる。この麺はのびにくいのが特徴とのことだが、食べてみてそれを実感。さらには、具の海老のプリプリ感が最高だった。

大場

トロッとしたあんかけにプリプリのえびや野菜が豊富。見た目も豪華でボリュームのあるラーメン。塩味のあんかけはボリュームがあるけれど、くどくなくて食べやすい。ラーメンというより1品料理のようだった。

鈴木

シーフードと野菜がいっぱいでヘルシーなのがいいですね。ぷりっとした歯ごたえのエビが美味。食べた後、しばらく体が温かかったので、寒い冬におすすめです。麺にツヤがあって、食べやすい感じがしました。また、行こうっと。

●湯浜町12-10
Tel:55-8733

一文字

細めのストレート麺と、秋田の比内鶏をベースにしたスープが奏でる独特の塩ラーメン。函館ラーメンの激戦区にあって、今までの塩ラーメンとは一線を期したその存在感はまさに「ニューウェーブ」と呼ぶにふさわしい1軒といえそう。市内から熱心な常連客が訪れるのはもとより、場所柄、観光客も数多く足を運ぶ。塩ラーメンのほかには、「北海道みそらーめん」(700円)も旨いと人気の自慢メニューの1品。

函館塩らーめん 680円

青山

ストレートの細麺がとにかくいい。また、比内鶏のコクがスープのオリジナリティということだが、深いコクがありながらも、塩ラーメンならではのあっさり感が失われていない点が素晴らしい。1度食べたら友達との話題になりそうな味だね。これは…。

大場

あっさり塩味だけれどコクがあるのが特徴のスープ。旨味が多いように感じるのは昆布だしがきいているからだろうか。やや固めのストレート麺が味になじんでいた。スープは別格として1番気に入ったのは味付半熟卵でした。

鈴木

運ばれてきた途端、スープの湯気から食欲をそそる香り。良質の素材を使用しているというだけあって最後まで飽きることなく食べられる。細麺で食べやすい。チャーシューが柔らかくて香ばしく、あと5枚くらい食べられそう。

●湯川町2-1-3
Tel:57-8934

キャプテン昇輝

200円という値段の中に無限の可能性を求める塩ラーメンは、オーナーが試行錯誤の上で作り上げたという自家製の塩を使ったスープが自慢の逸品。ちぢれ麺との相性も抜群で、シンプルであっさりしているがその存在感はまさに函館の塩ラーメンの真骨頂といった感。この店ではラーメンのほかに肉料理やカレーも好評だが、豚1頭を仕入れて自らが解体するなど、その職人としてのこだわりは特筆したいところ。

塩ラーメン 200円

青山

何だかとても懐かしい気持ちになるくらい、これが本来の塩ラーメンなのだろうと感じた。自家製の塩を使ったスープの味は流石。具は極めてシンプルだが、やはりこの組み合わせが塩ラーメンにはぴったりなのかもしれない…。

大場

これぞまさに塩ラーメンの王道という感じ。澄んだスープにほどよい塩加減とコシのある麺。あっさりしていて食べやすい。毎日でも食べられそうな飽きのこない味。自家製塩で作っているから旨味が十分出ているのだろうか。これでこの値段は驚き。

鈴木

「安いラーメンだから、味もそれなりでしょ…」と思っていたのがびっくり。透明感のあるスープ、シンプルな具で「そういえば昔、ラーメンってこういう感じだったなぁ」と、何とも言えない懐かしさが感じられました。

●湯川町2-1-3
Tel:57-5240

桐屋

沖縄の珊瑚礁の塩を使った透明感のある独特のスープが自慢の逸品で、あっさり系ながらコクがあり、女性客には特に人気が高い。麺は細めのちぢれ麺で、この麺が独特のスープと絶妙にマッチ。観光客からも人気を集めている。ラーメンのほかに、この店ではギョウザもすこぶる評判。「ギョウザ」(5個、350円)はもとより、棒状でキムチ系の味が自慢の「ピリ辛ギョウザ」(5個、400円)もオススメ。

桐屋塩ラーメン 700円

青山

透明感あふれるスープからは、見た目以上の深いコクを感じ、何だか不思議な気分。細めのちぢれ麺はとても食べやすく、スープの絡みも抜群だった。特筆すべきはチャーシューの柔らかさ。細部に至るまで作り手のこだわりが伝わる1品だと思った。

大場

透明感のある澄んだスープは、海のミネラルが十分で旨味たっぷり。単品メニューのスープのように飲んでしまった。チャーシューは柔らかくてジューシー。もっと食べたいと思ってしまうくらい。この味なら、もう1杯食べられる。

鈴木

半熟のゆで卵と透明感のあるあっさり味のスープが絶妙にマッチしてウマイ! 麺につやがあって、食べやすいのも印象的。大きく開かれた窓と高い天井で解放感があるスペースがグー。味、空間ともにスッキリした感じが好き。

●湯川町3-2-5
Tel:59-6615

漁火通りのラーメン屋さん巡り 青いぽすと Vol.292