ガーデニング初心者向けテクニッ
2005-06-14 vol.326
ベランダ・玄関から始める簡単ガーデニングのアレンジ方法
暮らしに潤いと安らぎを求める人なら、きっと誰もが求める、花のある暮らし——。でも、忙しい日々の中で「毎日の世話が面倒だから…」と思ってしまう人も少なくないハズです。今回は『財団法人函館市住宅都市施設公社 花と緑の課』園芸相談員の五日市昌子さんに、面倒くさがり屋さんでも気軽にはじめられる“花生活”について聞いてみました。
花と親しむ今日からはじめる簡単園芸とガーデニングのすすめ
ひと鉢からはじめる花のある暮らし
写真提供/北海道立道南四季の杜公園
五日市さんがおすすめするのは「ひと鉢からはじめる花生活」。生花店やホームセンターなどで1株100円前後で売られている植物を3株ほどチョイスしてひと鉢に植えることからスタートすることで、決して面倒ではなく、しかし園芸やガーデニングの楽しさの幅がどんどん広がるとのことです。それほど予算もかからないので、早速チャレンジしてみてはいかがでしょう。
まずは花を選ぶ
花には大きく分けて1年草と多年草があります。1年草はその多くが、春から秋にかけての比較的長い期間咲き続けて、やがて枯れてゆき、一方の多年草は毎年花を咲かせる花期が短い植物です。多年草は何といっても、毎年花の咲く時期を楽しみにする気持ちが醍醐味ですが、特に北海道の場合は越冬させることにやや気を使う必要があります。そういう意味では初心者は、1年草からはじめてみるのがおすすめなのだそう。
花は自分の好みで選びますが、その際、花に添えられているラベルを見て、その花に必要な日光量や水の量、肥料などを確認します。ラベルは花のメーカーなどが添付しているもので、花を育てる上で大切な情報が記載されているのだそう。もし、ラベルがない場合は、販売店に直接聞いてみるとよいでしょう。
最初、ビニール製の黒い鉢に入って売られている花は、市販の鉢などに移して育てます。初心者は3株をひと鉢に上手に寄せ植えしてみるのがベターで、まずはお気に入りの1株を選び、それに合うような背の高い花を選び、最後の1株は一般的に「葉もの」と呼ばれる、葉の大きさや形が全体の彩りを演出するものを選びます。寄せ植えする鉢は、3株がゆったり植えられるよう、大きめのものを選ぶのがおすすめです。土は、「培養土」と呼ばれる、園芸用の土を使うとよいでしょう。
植え換えは難しい…は先入観
よくいわれるのが、「初心者は植え換えで失敗する」ということ。しかし、「基本さえ理解すれば、植え換えは決して難しいものではありません」と五日市さんは話します。
鉢の底にはまず、底石をさっと敷き、その上に鉢全体の20%ほど培養土を入れます。次に、花からビニール製の黒い鉢を外し、根が這っている土を軽く割ります。その時、根を触り過ぎたり、根から土を取り除き過ぎたりすると失敗します。3株それぞれ、その作業を行ったら、いよいよ鉢植えし、最後に周囲を培養土で埋めます。その時、花の茎を培養土で覆ってしまうと、茎が腐るので注意しましょう。
花のある暮らしで広がる心のゆとり、優しさ…
寄せ植えした花は、部屋の窓辺や庭先などに置いて鑑賞しますが、育て方のポイントとして五日市さんは「それほど神経質にならず、ほどほどに気にかけてあげること」と話しています。日々成長し、美しい一輪の花を咲かせるその姿には誰もが愛おしさを感じ、自然の素晴らしさと命の尊さを感じることでしょう。「道内でもガーデニングが盛んな街では、人々の心にゆとりや優しさが芽生え、何より人と人とのコミュニケーションが深まっているという結果につながっています」と五日市さん。花があふれる街は人に優しい街…ということですね。同公社の取り組みにも、きっとそんな願いが込められているのではないでしょうか。ひと鉢からはじめる貴方の花生活が、人にやさしい街作りの原点になるかも知れません。
取材協力/財団法人函館市
住宅都市施設公社
花の魅力を知りたいなら北海道立道南四季の杜公園へ
市内亀田中野町にある『北海道立道南四季の杜公園』は、ポピュラーな花からちょっと珍しい花まで、実に多数の花があふれている公園です。もしかしたら、花のある暮らしのヒントが見つかるかも知れません。
広い庭がなくとも気軽にはじめられるガーデニングテクニック実例
取材協力/ガーデンショップきこうえん
●中島町38-10
Tel:51-3014
花で迎える玄関
訪れる人を花で迎える玄関は、住む人のやさしい心遣いが伝わります。
ハンギングバスケットやプランターボックスで高さを調整して立体的に飾りましょう。目線に合わせてかけた黄色のハンギングバスケットが華やかに…。プランターボックスや寄せ植えでボリューム感を出すなど、貴方らしさを演出しましょう。また、花の色をコーディネートして、おしゃれな雰囲気にまとめましょう。
- ドアの横に黄色を基調にしたハンギングバスケットを目線に合わせてかける。窓の下にプランターボックスを作りつけにして、同じく黄色の花を飾る。
- プランターボックスにアイビーを加え、足元には黄色とアクセントカラーの紫を使った寄せ植えを置く。
アレンジ
赤のゼラニュームで華やかな印象に! 大きめの樽にコニファーを中心に赤いゼラニュームを植えます。プランターには赤い花をひきたてるマーガレットを…。ハンギングバスケットの色も赤にそろえましょう。
もうひとつのリビング
小さな庭やベランダを「もうひとつのリビング」にして楽しみましょう。
トレリスなどで囲ってコニファーなどを奥に植え、手前に花の寄せ植えを置くと、もうそこは貴方だけのリビングです。トレリスには紫の濃淡でデザインしたハンギングバスケットを飾りましょう。白い椅子とテーブルを置くとおしゃれな雰囲気に…。花と緑に囲まれたコーナーは貴方の心を癒す空間になるでしょう。
- ベランダや庭の一隅にコニファーなど緑の木を配し、紫を基調にしたハンギングバスケットや寄せ植えの鉢、プランターで飾ります。
- 白い小さな椅子とテーブルに鉢植えの花を飾れば、そこはもうひとつのリビングです。
アレンジ
木製の椅子に変えてカジュアルな花空間を楽しみましょう。
和風で楽しむコーナー
簾や苔玉を使って和の雰囲気を楽しみませんか? 庭の片隅や塀添いなど、小さなコーナーに緑の木を配し、簾をかけて苔玉を下げると和の空間になります。シダ類などを苔で包んで苔玉を作ると和風にもアジア風にも楽しめます。大きめの陶器にシダ類や石を置き、小石を入れて石の庭のイメージの寄せ植えを作ります。
夏には陶器の水盤に水を張り、水草などを添えて水景色を作りましょう。風にゆれる葉が涼しさを演出します。
- 庭の片隅の壁や塀に簾をかけ、苔玉をつり下げる。
- 大きめの陶器に、小さな葉を持つ植物やシダ類など涼しげな印象のものを寄せ植えし、石を置き小石を入れる。
アレンジ
寄せ植えを水盤に変えてみました。器に水をはって水草を入れ、うき玉を浮かべて水の風景にすると夏向きに…。