青いぽすと

自分らしい生き方とは

2013-12-24 vol.531

自分らしい生き方を貫いた函館で活躍している人達10人

自分らしく生きていますか?必ずしも希望の仕事につけるとは決まっていない中で、自分がやりたいことを貫いて、それを仕事にしている人達の、これまでの歩みを伺ってきました。あなたの今後の考え方に、少しでも参考になれば幸いです。

人と人とが繋がる場所を作りたい

『コミュニティカフェはなはな』オーナー多田 朋美さん

多田朋美さんが『コミュニティカフェはなはな』をオープンしようと思ったのは、民生委員として一人暮らしのお年寄りと話していた頃。「あなたが次に来る日まで話す人がいない」という人が少なくないことから、「ここに行けば話相手がいると誰もが安心して足を運べる場所を作りたい」と思ったのがきっかけ。
できればそういう場所で食事もできるほうがいいと考え、調理師や食品衛生管理者の資格を取得することから始め、カフェのオープンに至りました。
オープン後は、「みんながいきいきと生き甲斐を見つけたり、世代の違う人とも交流して欲しい」と、イベントの開催や手作り品の委託販売にも力をいれています。
今まで店に来た人が名刺を店内にずらりと貼ることで、名刺を見たハンドメイド作家同士が繋がっていくなど、この店ならではの繋がりもできています。
いつもあたたかい笑い声が聞こえてくる素敵なお店、『コミュニティカフェはなはな』は昭和3-6-1、Tel:76-8703。

趣味が高じてプラモデルメーカーを設立

『グレイスモデル』代表 増井 慎吾さん

起業を決意したのは、東京の鉄道会社に20年勤務し、駅統括に就任した頃だったという。
「生産性のある仕事がしたくなったんですよ」
増井慎吾さんは、プラモデル好きが高じてプラモデルメーカー『グレイスモデル』を設立。独立の場所に選んだのは、小中学校時代を過ごした函館だった。メーカーとして初の製品は函館市電のプラモデル。これが今年6月の市電100周年の波に乗ってブレイクした。
さらに、増井さんの技術を知った神奈川県のペーパーキットメーカーが、函館駅のペーパーキット化を依頼。今年の末、昭和55年頃の函館駅が150分の1スケールのペーパーキットとして函館市内外で発売されることとなった。
「函館で過ごした小中学校時代は鉄道マニアだったので、函館駅にはとても思い入れがあります。まだ会社は小さく、プラモデル業界では地域モノは弱いといわれていますが、こういう仕事をいただき、起業してよかったと思っています」
『グレイスモデル』はTel:83-1643。

ヨーロッパタイプのパン作り

『天然酵母パン tombolo』代表 苧坂 淳さん

大三坂の途中に自家製天然酵母、道産小麦、水、塩だけで作るヨーロッパタイプのパンのみを扱う『トンボロ』があります。伝統的建造物に指定されているこの店は、代表の苧坂淳さんが学生の頃に暮らした場所。陶芸家の父親を見て育った苧坂さんは、進学のため東京に上京してからも〝自分の手で何かを作り生活したい〟という思いを抱えていたそう。その頃、たびたび訪れていたのが、ヨーロッパタイプのパン専門店。味はもちろん、いきいきと働くスタッフの姿に感銘を受け、その店の門を叩きました。妻の香生里さんの出産を前に環境の良い所で子供を育てたいと考え、浮かんだのが函館の街並。当時陶芸品のギャラリーだったその場所に、今はパンと陶芸品が仲良く並んでいます。「今後はランチやワイン会を展開したいです」と、苧坂さん。子供を育むように作る天然酵母のパン同様『トンボロ』も成長してゆきます。営業時間は午前10時〜午後6時。毎週月・火曜日定休。
『トンボロ』は元町30-6、Tel:27-7780

ブログ執筆がきっかけでフリーライターに

フリーライター 茎沢 直子さん

子育てをしている時期に、子連れで楽しめる場所を紹介したくて始めたブログ、それが茎沢直子さんの人生のターニングポイントになった。
出産までは函館市内の企業に勤めていたが、育児をしながら始めたブログがきっかけとなり、函館開港150周年記念事業メモリーチームにボランティアスタッフとして加入。情報発信者としてのスキルを高め、今から3年前にフリーライターとして一人立ちし、現在は函館市公式観光情報サイト「はこぶら」の制作を手がける。
「憧れのライターになれるなんて思いもしませんでした。ウェブサイトの運営をしている株式会社シンプルウェイの社長と編集長のご指導のおかげです」
観光客や地元市民に向けて多くの情報を発信することが今後の目標だそう。「はこぶら」は外国語ページが完成、さらにスマートフォンにも対応する。北海道新幹線開業に向け、ペンの力で国内外からのお客様をおもてなしする担い手としての活躍が期待される。ウェブサイトは「はこぶら」で検索を。

好きだったイラストを描くことを仕事に

イラストレーター tomoyoさん

とびきり元気な挨拶と笑顔、アーティスティックなセンスが光るファッション。
そんなtomoyoさんがイラストレーターになったのは東日本大震災の半年後、御主人の転勤で岩手県に引っ越した時。就職がない中で自宅でできる仕事を考え、子供の頃から好きだったイラストを描くことを仕事にするという答えに辿り着いたのだとか。
独身時代に保険会社で培った営業力を活かして飛び込みで売り込みを始めた。その甲斐あって仕事の依頼も増え、さらに注目度が高まってフリーペーパーに掲載されたり、ラジオ出演したりするようになったそう。
現在は、個人はもちろん企業からの依頼も多く、「自分らしさではなく、クライアントらしさ」を1番に考え、ロゴマーク、挿絵、ポスター、名刺などいろいろな依頼を受けている。「クライアントが喜んでくれることが1番嬉しい」とまぶしい笑顔で答えてくれました。
仕事の注文はEメール(anzflavor@yahoo.co.jp)で随時受付。

アニメ特撮BAR青年ライダー隊本部代表

絵師・造形師 小山 りょうさん

湯の川温泉電停前で目を引く『アニメ特撮BAR青年ライダー隊本部』の看板。店内には懐かしのアニメ特撮フィギュアやレーザーディスクなどが並び、カラオケ(無料)もアニメ特撮限定とユニーク。この店をプロデュースした代表の小山りょうさんは、18歳で東京のアニメ制作会社に就職。20歳からはフリーアニメーター、キャラクターデザイナーとして活動。「ゲゲゲの鬼太郎」や「ルパン三世」などの原画やアニメの制作現場で活躍しました。家庭の事情で函館に帰郷して数年、東日本大震災をきっかけに〝皆を元気づけたい〟という想いから一昨年に同店をオープン。ヒーローショーで歌のお兄さんの経験もある小山さんは、来店者に歌のプレゼントをするなどサービス精神も旺盛。「自分にできることで函館を盛り上げたい」と市民有志と共に結成した函館ヒーロープロジェクトでは、ご当地ヒーローを制作中です。新ヒーローの誕生と小山さんの今後に期待。営業時間は午後7時〜深夜3時。無休。

●湯川町1-27-1 深瀬ビル2階
Tel:090-3110-6066

非日常を奏でる歌声

歌手 mokaさん

函館で歌手を職業にする。
この難しい目標へ進んでいる女性がいる。mokaさんは、中高生時代にバンド活動を行いながら音楽にのめり込み、高校卒業後にソロ活動をすることを決意。
「バンドにはバンドの面白さもありますが、アレンジから選曲まで自由にできるソロも楽しいですね」
mokaさんは現在、月2~3回のライブ活動をこなしている。
一時はメジャーデビューすべく大手音楽事務所との契約寸前まで行ったというmokaさんは、「メジャーデビューが本当にやりたい事ではなかった」と、最終的にその契約を断り函館で活動することを決意する。
「函館の皆さんは音楽が大好きですが聴きに行くという方は少ない。音楽から離れてしまっている市民の皆さんにも音楽で非日常の時間を提供したい」
そんなmokaさんは来年3月15日に金森ホールでソロライブを行います。来年1月からチケット販売予定で、価格は1枚1500円。低音が効いて伸びのあるmokaさんの歌声をぜひ。

自然の環の中で生きていたい

山田農場チーズ工房 山田圭介さん

小川のせせらぎが心地よい大沼の山間部にある『山田農場チーズ工房』。経営者の山田圭介さんは愛知県出身。高校卒業後、チーズ作りで有名な新得共働学舎でチーズ作りを学び、6年前に独立の地として道南を選びました。高い評価を受ける山田農場のチーズは、ヤギや牛がストレスなく自然な状態で育つ環境がとても大切なのだそう。農場は土壌作りから家族5人が暮らす家まで、全て山田さんのこだわりが詰まった手作り。「後悔したくない、自分にとって心地よい場所にいたい、という選択を続けてきた結果が今あるだけ」と話す山田さん。自然の環の中で生きていたい。みんなで楽しく暮らす豊かさを子供達に伝えていきたい。そんな山田さん一家は、良い素材からゆったり時間をかけて熟成されてゆく美味しいチーズに似ている感じがします。少量生産、不定休なので、チーズを購入する際は必ず事前に連絡を。

営業時間は午前10時~午後4時。不定休。

●七飯町上軍川900-1
TEL/FAX 67-2133

大好きなフランスワインに携わる幸せ

『ラ・プティ・カーヴ』代表 小杉 愛さん

本町の電車道路沿いにフランスワインをグラスで気軽に楽しめるワインバー『ラ・プティ・カーヴ』はあります。
オーナーの小杉愛さんがソムリエの資格を取得したのは7年前。その数ヶ月前に初めてフランスワインを飲み、複雑で繊細な味わいに魅せられたのがきっかけでした。
同店のオープンは2011年。ワインと言えば、「レストランで…」「コース料理と…」といった、少しかしこまったイメージを取り払って、「もっと気軽に飲めるお店があったら…」という自身の望みを具現化しました。
お店ではグラスワインを6種類700円〜、ボトルを3000円〜提供。分かりやすい説明をつけた選びやすいリストを用意することで、ワインに詳しくなくても気軽に楽しめる店作りをしています。
「ワインは私の生活に欠かせないもの。飲みにも行くし、家でも飲むし、仕事と趣味が一緒なんです」と小杉さん。「今、毎日がとても充実している」と話す笑顔が印象的でした。
『ラ・プティ・カーヴ』は本町30-22、Tel:55-4797。

たくさんの〝楽しい!〟を提供したい

『ワンダフルワールド!』代表 上村 佳樹さん

北斗市七重浜の本を読まない人のための本屋『ワンダフルワールド!』は、個性あふれる商品展開で人気を集める本と雑貨のセレクトショップ。
代表の上村佳樹さんは大阪出身。以前は全国に400以上の店舗を持つ、「遊べる本屋」で知られる「ヴィレッジヴァンガード」に勤務。転勤で各地を移り住みながら、いずれは独立をしたいと考えていたそうです。
道南を開業場所に選んだのは、直感。旅行で函館を訪れ「ここや!」と思ったのだとか。
仕入れる商品を選ぶポイントは楽しんで発信できるかどうか。「売れそうだなと思っても自分が気に入らなければ仕入れない。その逆もあります」と上村さん。自分が楽しめなければポップは書けないそうです。「お菓子やキャンディを見て、食べられるんですか? と聞く人もいます。冗談なのか本気なのか、お客さんも分からなくなることがあるみたいで…」と話してくれました。
『ワンダフルワールド!』は北斗市七重浜4-39-1、Tel:48-5201。

自分らしい生き方をしている人達2013年祭集合特別企画あなたらしく生きていますか? 青いぽすと Vol.531