青いぽすと

みなと函館のお店

2016-10-28 vol.599

函館観光の穴場!みなと函館の趣のある古い建物10

函館には、古い建物をリノベーションした施設や店舗が幾つもあります。それらの建物の多くはかつて、函館市民が様々な目的で足を運んできた施設や店舗でした。  今回はこの街の昔の面影が残る建物に注目しました。どの建物もその歴史を色濃く残しながら、上手にリノベーションされているものばかりです。ぜひ1度足を運んで、古き良き時代にタイムスリップしてみてはいかがでしょう。

映画館からスーパーマーケットに…

キングストア

堀川町電停前にある『キングストア』が「新星映画劇場」という映画館だったことを知っていますか? ほかにも昭和時代の函館にはたくさんの映画館があったそう。しかし、当時の面影が残っているところはここの場所以外にほとんどありません。

 同映画館は戦時中である昭和17年に開館し、昭和38年に閉館しました。その後、同店としてオープンした今でも骨組みやバックヤードの床などは映画館だった当時のまま残っており、外観にも面影があります。

 「映画館だった頃から通っているよ」と昔を懐かしむ常連客も少なくありません。昔も今も、多くの人々が通うこの場所に気軽に訪れてみては?
営業時間は午前9時~午後8時。無休。駐車場有。

●千代台町2-4
Tel: 53-9675

百貨店として賑わった面影を残す

函館市地域交流まちづくりセンター

市民活動の支援や観光案内など、函館のまちづくり活動をサポートしている末広町・十字街の『函館市地域交流まちづくりセンター』は、大正12年から昭和44年まで、「丸井今井百貨店」として、たくさんの市民で賑わいをみせていた建物です。
館内には、重厚な階段の手すりなど当時の面影が随所に残されており、観光客はもとより、懐かしさから見学に訪れる市民も少なくないそう。

注目は、昭和9年に設置されたエレベーターがまだ動くということ。日本で使用されている手動式エレベーターとしては東北以北で最古といわれており、百貨店だった頃のエレベーターガールが昔を懐かしんで乗ったという素敵なエピソードも…。受付に申し出ればエレベーターに乗ることができます。

●末広町4-19
Tel: 22-9700

一代で巨万の富を築いた太刀川善之助

タチカワカフェ レストランメゾン

 国指定の重要文化財に指定されている「太刀川家住宅店舗」は明治34年、初代太刀川善吉によって建てられた土蔵造り2階建の関西風商家の建物。米穀商、漁業・廻漕業を営み財を築いた2代目太刀川善之助は函館屈指の豪商として活躍した。
現在は建物の一部を、カフェレストラン『タチカワカフェ レストランメゾン』としてオープン、体感できる重要文化財として開放している。

同店で料理の腕をふるうのは、以前、時任町にあった「ラ・メゾンド・カンパーニュ」のシェフ。エゾ鹿料理などのフランス料理や、「ミックスピザ」(900円)など、シェフの変わらぬ味を求めて来店する人も多い。営業時間は午前10時~午後6時。午後6時以降の貸切プラン有(10人以上)。毎週月曜日定休。

●弁天町15-15
Tel: 22-0340

梅津商店の面影を残す

はこだて工芸舎

 『はこだて工芸舎』は、梅津福次郎さんによって創立された梅津商店の面影を残すお店。明治13年に函館で塩魚の行商から始めた梅津さんは、食料品雑貨を扱う小売店、酒類の販売など商売の幅を広げ、明治23年に現在地に店舗を構えました。その後、3度の大火があり、昭和9年に建築されたのが現在の建物です。

床や壁、時計や金庫など歴史を感じる店内には、陶器を中心にガラスや木工品、洋服、食品、雑貨など幅広く取りそろえています。2階には、梅津商店の資料などを展示しており、応接間や和室なども見学可(入場料300円)。2階広間の貸し出しについては、お問い合わせを。営業時間は午前10時〜午後6時(11月〜4月は午前11時〜)。無休。駐車場有。

●末広町8-8
Tel: 22-7706

歴史ある理髪店だった建物をリノベーション

ラッキーピエロ十字街銀座店

 末広町・銀座通にある『ラッキーピエロ十字街銀座店』の建物は、もともと理髪店でした。まずは何といっても店の外観が素敵。店内の床や、2階へと向かう階段の手すりなどは現在もそのまま使われていて、当時の面影を色濃く残し、それがサンタクロースをテーマにしたインテリアと調和したワンダーランド的な空間。ラッピ全店舗の中で唯一、2階に客席がある店舗なので、2階へ向かうワクワク感もたまらない。

ある時、店の外観を眺めている人がいたのでスタッフの1人が挨拶すると、理髪店当時の店主さんが昔を懐かしんでいたという素敵なエピソードも取材中に聞くことができました。営業時間は午前10時〜深夜0時30分(土曜日は深夜1時30分まで、各LO/30分前)。駐車場有。

●末広町8-11
Tel: 23-2300

隆盛を感じる旧銀行群

函館市文学館

 末広町の電車通り沿いにある『函館市文学館』は、第一銀行(現在のみずほ銀行)函館支店として大正10年に竣工した建物です。
明治から大正にかけて、関東以北の主要都市として発展していた函館。ホテルニューハコダテ(旧安田銀行函館支店)、北方民族資料館(旧日本銀行函館支店)、SEC電算センタービル(旧百三十国立銀行本店)が建ち並ぶ同地区は金融街として活況を呈していました。

函館市文学館では、重厚な外観や金庫室として使われていた展示スペースなどを楽しめます。金融街の香り漂う函館の一角、ちょっと違う視点の散歩を楽しんでみませんか。
営業時間は午前9時~午後7時(11~3月は午後5時まで)。年末年始および館内整理日は休館。

●末広町22-5
Tel: 22-9014

元銀行の一部だった小さなカフェ

セレクトコーヒーショップ ピースピース

 八幡坂の途中にある『ピースピース』は、大正期に建てられた元銀行のボイラー室を再利用した喫茶店です。2007年のオープン時には銀行の本館部分も残されていましたが、開業から4年ほど経ったとき、老朽化により本館は解体。ボイラー室だったこの店舗だけが残されました。

特徴的なのは、斜面に石垣を組んで本館を建て、その足元である石垣の横にボイラー室を設けたため、入口を入って右側の壁が、石垣に沿って斜めになっていること。白い壁にダークブラウンの木目が調和する店内は落ち着いた雰囲気で、店主こだわりのコーヒー(各600円)をゆっくりといただくことができます。
営業時間は正午~午後5時。毎週金曜日定休。駐車場有。

●末広町18-12
Tel: 22-5500

歴史を感じる重厚な佇まい

ひし伊

 アンティークな空間とゆったりとした雰囲気が魅力の『ひし伊』。
右手にある『古きものなどなどひし伊』は、明治38年建造の土蔵を改造したお店。当時質屋だったこの建物の右側には、質屋の入口をそのまま残しており、そちらからも入店することができます。現在は、古着物や帯を中心に(3000円〜)、和の雑貨や食器などのリサイクル品を販売しています。

 また、左手にある『茶房ひし伊』は、大正10年に建て増しされた質蔵を利用したお店。店内には、洋アンティークな1階と和骨董などを使った座敷の2階があり、風情を感じながら軽食や甘味を楽しむことができます。
営業時間は午前10時〜午後6時。無休。駐車場有。

●宝来町9-4
Tel: 27-3300

古い建物を再利用した先駆け的お店

カリフォルニア・ベイビー

 ベイエリアに建つ特徴的なカラーと、建物正面のモダンなデザイン、それに映える看板やネオンサインが目をひく『カリフォルニア・ベイビー』は、「カリベビ」の呼び名で親しまれる函館っ子にはおなじみの店。大正時代に建てられた郵便局を再利用し、昭和51年にオープンした同店は、歴史的建造物など、函館における古い建物を再利用したお店の先駆け的存在です。

店内は「古き良き」という言葉を思わせるアメリカのインテリアや、縦長の窓が印象的。開業当時から提供している看板メニューの、「シスコライス」(770円)は、地元民からも観光客からも支持される不動の1番人気メニューです。営業時間は午前11時~午後10時。毎週木曜日定休。

●末広町23-15
Tel: 22-0643

往時を思わせるテーラーの棚

ビアバー山下

 函館大火後の昭和9年築、二十間坂下にある『ビアバー山下』は、元テーラーだった建物をリノベーションしたお店です。
外観はひびの入って古びた印象ですが、モルタルの装飾が施された2階の窓なんかは、かなりいい感じ。建物正面と横に付けられている店名は、数文字剥がれ落ちていますが「山崎洋服店」となっていたようです。

店内の見どころは、「これを中心に店をレイアウトした」とオーナーが話すカウンター奥の棚。生地を並べていたであろうこの棚は、丁寧な装飾がほどこされ非常に重厚な佇まい。棚の端に付いている鏡は試着室があった名残りだそうです。往時に思いを馳せながら、いつもと違う1杯を。
営業時間は午後8時~翌2時。毎週日曜日定休。

●末広町16-3
Tel: 23-4539

みなと函館、古き良き時代の面影… 青いぽすと Vol.599