月のトリビア
2003-08-29 vol.283
月の満ち欠け・十五夜を楽しみのんびりしたいあなたへ
天気によりますけど、毎日見ることができる月。意識しないと目に入らないかもしれませんけど、改めて月を見るのって良いですよ。私達の体、生活とも密接な関係がある月に関するトリビアをどうぞ。
世界中の人が夢とロマンを感じた月の光、日本では中秋の名月が有名
1954年にアメリカでヒットした『フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン』という名曲をご存じだろうか?
“月まで私を連れてって”なんていうタイトルが、いかにも当時のアメリカっぽくて洒落ているのだが、月をテーマにした名曲は、例えば「ムーンリヴァー」や「ムーンライトセレナーデ」など実に数が多く、人が昔からいかに、夜空に映る月の光に夢やロマンを感じてきたかがよくわかるというものだ。
ご存じの通り、日本には「お月見」という風習が古くからある。よく知られた「中秋の名月」を見る十五夜は、「中秋」つまり旧暦の秋にあたる7〜9月のちょうど真中の8月15日の夜に行われるのが一般的で、今年だと9月11日が十五夜になる。
十五夜の行事は中国から伝来したものといわれており、日本では江戸時代以降に、農業を生業とする地域を中心に、農耕儀礼として、月見が庶民に広まったとされている——。
旧暦が最近、注目されている
人間は有史以前から、月の満ち欠けと日々の暮らしを関連付けてきたと言われているが、最近になって、月齢が明らかな旧暦に注目する人が少なくない。
例えば、月の満ち欠けは潮の満ち引きと大きく関係しているから、海で行動する人達に注目されていることはもちろん、自然のサイクルも旧暦のリズムに近いことから、自然を相手にしている人達の間でも、旧暦が大いに役立っているようで、地元で収穫した旬の物を食べるというスローフード愛好家の中にも、旧暦に注目している人が少なくないという。
実際、古くから日本の農家で受け継がれてきた旧暦の原型は「農暦」なワケだから、旧暦のサイクルの中には、自然と共存共栄してゆくためのさまざまなヒントが見え隠れしていることがいえるのかも知れない。
また、古来から伝わる伝統文化や節句などに注目すると、旧暦の存在を知っていることで随分と造詣が深くなり、季節の移り変わりを敏感に、楽しく感じることができるという。
月のリズムでゆったり暮らすのもたまにはいいもの
アポロ11号のニュースさえも昔話として語られるようになった昨今。昔に比べれば食卓に並ぶ料理に季節の移ろいを感じることも少なくなり、テレビの画面から「24時間闘えますか?」なんて問いかけられるほど、太陽暦のサイクルの中で毎日殺伐と暮らしている現代人。
そんな現代人こそ、月の満ち欠けや自然のリズムと共に生きていた旧暦の暮らしに、たまには注目してみるのもよいのではないだろうか。月の光さえ忘れてしまいそうな夜、せめて十五夜には中秋の名月をゆったりと鑑賞できれば、人々がおおらかだった時代のスローライフの快適さを思い出すことができるのでは…。
そしてこんな時代だからこそきっと、月にロマンを求めていた時代の歌も心に響くのかも知れない。
月まで私を連れてって——。
旧暦って何?
月の満ち欠けのリズム…つまり、月が地球の周囲を1周する日数に合わせた暮らし「旧暦生活」が、最近、スローライフを提案する人達の間で注目されています。
現在、私達が使っている暦は、明治6年に国暦となったグレゴリオ暦で、それ以前に使われていた暦を旧暦と呼びます。グレゴリオ暦が太陽暦なので、旧暦は太陰暦と思っている人も多いようですが、実はそれは大きな間違い。旧暦とは太陽暦と太陰暦の利点を取り入れた太陰太陽暦なのです。太陽暦は太陽の周囲を地球が1周する日数を基準としており、1年は365日か366日ということになります。それに対し、太陰暦は月が地球の周囲を1周する日数を1月として、それを基準に1年12か月としたもので1年は354日にしかなりません。
日本のように四季がはっきりした地域だと、太陰暦では暦と季節がどんどんずれてしまいます。そこで昔は、太陰暦と太陽暦の利点を合わせたというワケなのです。旧暦は太陰暦で日付を数えるので、新月の日が毎月1日になりますが、月が地球を1周するのは約29.5日なので、1か月29日の小の月と、1か月30日の大の月を作って微調整しました。
改暦以降、十五夜の行事が行われる「中秋」は毎年変化しており、早い年では9月上旬、遅い年だと10月までずれ込むことがあります。余談になりますが、十五夜の月は必ず満月になるワケではなく、この150年間を例にすると、十五夜の月が満月になったのは、およそ37%なのだとか…。
月夜に聴きたいオススメの1曲
たまにはお月様の満ち欠けを気にしながら、のんびり快適生活を送りませんか——。
《取材協力》
玉光堂松風店
ムーン・リヴァー
収録アルバム:「エレガンス」
(全17曲/2625円)
ミスタームーンライト
収録アルバム
「ビートルズ・フォー・セール」
(全14曲/2548円)
月光
収録アルバム:「インソムニア」
(鬼束ちひろ、全11曲/3059円)
月に吠える
収録アルバム:「月に吠える」(オジー・オズボーン、
全8曲/1785円)
お月見の供え物
十五夜のお月見は、本州ではちょうど里芋の収穫の時期であることから芋名月とも呼ばれ、この夜のお供えにはたいてい里芋が供えられます。北海道では里芋は採れないため、かわりに枝豆やとうもろこしが供えられるようになったようです。お月見の供え物としては、一般的にはススキや秋の草花を花瓶に挿し、月見団子に梨やぶどうといった季節の果物、それに枝豆やとうもろこし、カボチャなどの畑の収穫物を供えます。道南の江差町ではススキや団子、とうもろこし、枝豆、それにお神酒も添え、それを神棚や仏壇にも供えたそうです。
月見団子の作り方
- 上新粉4に白玉粉1の割合の粉と適量の砂糖に湯を入れてヘラで混ぜます。耳たぶより少し柔らかい程度になったら湯気の立った蒸し器にちぎって並べ、蒸します。
- 熱いうちにボールにとり水をつけたヘラでよくこねます。
- なめらかになったら冷水に取り、手の平で丸めます。
月にまつわる言葉あれこれ
月影(つきかげ)=月の光
月代/月白(つきしろ)=㈰月の出ようとする頃 ㈪白い毛の混じった馬
月並み(つきなみ)=㈰毎月 ㈪ありふれていて平凡なこと
月映え(つきばえ)=月の光りに照らされていっそう美しく映えること
月人(つきひと)=月を擬人化した語
月の鏡(つきのかがみ)=㈰月を映した池の水面を鏡に見立てた語 ㈪晴れた空にかかる (満月を鏡にたとえた語)
月の顔(つきのかお)=月の表面
月の剣(つきのつるぎ)=三日月のこと
月の客(つきのきゃく)=月見をする人
月にちなんだお洒落なメニュー
満月の夜をムーディーに過ごしたい人にオススメしたいのが、市内駒場町・駒場車庫横にある『月夜のうさぎ』。月にちなんだお洒落なメニューを紹介しましょう。
《取材協力》
月夜のうさぎ
ランチタイムは午前11時30分〜
午後2時。夜は午後6時〜深夜0時。
毎週月曜日定休。駐車場有。
●駒場町14-15
2階
Tel:55-5563
月夜の若紫 500円
巨峰を使ったカクテル。赤紫の衣を羽織った気分に。
白夜桃 500円
白夜に包まれたような、ほのかに甘い桃のカクテル。
月光梅 500円
月夜に映える真っ赤な紅梅の香り高いカクテル。
満月焼き餃子 650円
まるで絵のようで楽しい。
もちろん手作り。