青いぽすと

函館で活躍している人

1999-12-28 vol.195

函館で全国で活躍が期待される人をチェック

人にはそれぞれに目標がありますよね。どんなに小さな目標でも、努力するためには必要で、努力のしがいありますよね。函館で努力している沢山の人の中には、来年度は全国での活躍が期待されている人達がいるんです。

二十世紀最後の函館の挑戦

函館大有斗高校ラグビー部

11月初旬の函館は心地良い秋晴れの日が続いたが、それでも太陽が函館山の向こうに沈む時間になると、張りつめた空気はことのほか冷たく身にしみる。

全国大会出場8年連続13回目。寒空の下、グランドを駆け回り楕円形のボールを追いかける屈強の若者達は皆、明るく元気良く、ヘッドギヤの中のあどけない表情からは「名門」とか「伝統」といったたぐいのものへのプレッシャーをほとんど感じさせない。「もう少し緊張感があってもいい時期なんだけどね…」。グランドの隅で選手達の練習を見つめながら、就任1年目の三浦監督は言う。このレポートが読者の手に届く頃にはもう開幕している第79回全国高校大会に出場する函館大有斗高校ラグビー部はこの時期、全国の高校ラガーの憧れの地・花園(東大阪市)での挑戦に向け、最後の仕上げに余念がなかった。

函館が全国に誇れるものといったら、夜景…歴史的遺産…観光施設…食べ物…など意外に多いが、ラグビーもそのひとつと言って過言ではない。全国に先がけて少年の育成に尽力してきたこの街のラグビー熱が、高校ラグビーの強さや日本代表クラスの選手の輩出などにこれまで色濃く反映されてきた。

「それでも最近は、ラグビースクール出身者などは極めて少ないです。未経験の子も多く、1年生の頃はろくにボールをキャッチできない子だっています。でも、ほとんどの子が花園に行けることを信じて入部してくるのです。そういう子供達を全国レベルで闘える力にしてあげるのが私共の役目。指導とはそういうものなのではないでしょうか」と三浦監督。「子供達にとって高校時代のラグビーの経験が、社会に出てから役立つことをいつも願っていますよ」と、スポーツの指揮官であると同時に、教育現場のひとりであることを強調する。

南北海道の代表として、全国の強豪と渡り合うことは並み大抵の事ではない。しかし、より高いレベルに自分を置くことの喜びを、より強い相手に挑戦できることの喜びを、伝統のジャージに袖を通した若者達は感じているに違いない。そしてその喜びはやがて彼等にとって、人生の中でのゆるぎない自信へと変わってゆくはずだ。

伝統は受け継がれ、魂は体に染み込む。有斗ラグビーの挑戦はこれからも限りなく続いてゆくだろう。少年達の夢がいつしか21世紀のこの街の活力の源となることを信じ、そしてこの街が常に何かに挑戦し続ける街であり続けることを心から願い、彼等が寒空に向かって蹴り上げた楕円のボールに視線を送った。

函館から全国へ…2000年の挑戦

書の道で全国大会へ…

函館北高二年 吉田 玲子さん

好きな歌の歌詞や、日常生活の中で出会った素敵なフレーズを、毛筆に任せてダイナミックに書き上げてゆく。書道はイマジネーションやファンタジーがあふれる芸術だ。

函館北高校二年生の吉田玲子さんは今年、全道高校書道展で奨励賞を受賞し、来年8月5日から静岡県浜松市で開かれる全国大会に出場する。吉田さんが取り組んでいるのは、漢字と平仮名を作品に混在させる近代詩文書という創作で、題材は基本的に自由。先の全道大会では大好きなユーミンの歌の歌詞の一部を力強く書いた。

顧問の鈴木大有先生は「書道は創造力の世界。彼女の感性が全国大会の作品に出せればいいと願っている」と、吉田さんの作品に期待している。吉田さんは来春の締切を前に現在、題材探し中で、やはり大好きな歌の歌詞を題材にすることを考えているという。

数年前に全国大会に出場したことのあるお姉さんの影響で、高校から本格的に書道をはじめたという吉田さん。「書道の甲子園」といわれる国際高校生選抜書道展でも13000人の中から優秀賞70人の中のひとりに選ばれるなど、その才能を着々と開花させており、来年の全国大会でもその評価は大きく注目されている。「書道はスポーツのように人と戦うものではないので、全て自分との戦いでしょう」とは鈴木先生。受賞を知った時はびっくりして飛び跳ねたという吉田さんだが、全国大会へ向け作品作りの準備を進めている現在、プレッシャーはほとんどなく「思いきり書きたい」と、現代っ子らしく明るく、抱負を語ってくれた。『風の煌めき 羽根に畳んで』は、全道大会に出展した作品の言葉。来年、吉田さんのもとには、はたしてどんな風が煌めくのだろうか…。

全国へ疾走

e・mu

2000年に大いに期待できるのは、なんといってもメジャーデビューする勢いあふれるロックバンド『e・mu』。函館にいた頃からすごい人気で、ライブを開くたびにライブハウスは超満員。中・高校生に圧倒的人気だった。音楽性のレベルも高く、このバンドなら)メジャーデビューできると評価され、人気、実力ともにナンバーワンだった。

最近の音楽界の傾向は、インディーブ時代にすでに大人気のグループが、メジャーになって一般的に知られてゆくことが多い。インディーズ時代に抜きんでた人気といえば、e・muはまさにそうだった。

メンバーはヴォーカルで函館西高校出身MIZUKI、ヴォーカルとギターで函館中部高校出身DAISUKE、ベースで函館工業高等専門学校出身のYUKKU、ドラムで函館西高校出身のTAKAHIROの4人。函館の若者がいよいよ本格的に疾走する。

10月から11月頃には初の全国ツアーも行うそう。「e・muの名を聞いて知らない人がいないようにしたい。これからも自分たちの信じている音楽を目指す」といつメンバーたち。

函館時代から、音楽一筋で頑張ってきた彼ら。音楽にかける情熱は、なみなみならぬものがある。メジャーになっても彼らならやってくれることだろう。2月末から3月にかけて新しいマキシシングルもリリースされる予定。

2000年はe・muの活躍が楽しみだ!

東京へ進出

函太郎

「僕はおいしい寿司が好きだからこの商売を始めたんだ。苦労も多いけど、やりたいことは、あきらめないでやってみる方なんだ」と話すのは、回転寿司『函太郎』を経営する株式会社吉仙の社長伊端則夫さんだ。この店は、回転寿司といっても、吟味した新鮮なネタを用いて、機械に頼らず、職人が握っている。魚介類は6割以上函館近郊でとれたものを使用している。質の良いネタをリーズナブルな価格で提供できるのは、大量に仕入れているからという。その経営ぶりは上々で、全国から脚光を浴び、注目を集めている。

現在は東京進出に向けて企画立案中だ。東京進出を考えた動機について尋ねると「函館って、素晴しいものをいっぱい持っているのに、本州企業にやられっぱなしじゃない。本州から入ってくるのを待っているのではなく、函館から本州に出ていって商売を展開したら愉快だろうと思ってね。一発勝負してやろうと思ってさ」とストレートに答える。58歳とは思えないバイタリティだ。

夢は実現するためにあると締めくくる伊端さんの言葉に、函館の勝利を垣間見た。

郷土芸能に新風を

函館大谷高校ダンス部

北海道の民謡「ソーラン節」に踊りと太鼓を加え、新しく創造した函館大谷高校ダンス部の『沖上げソーラン節』。同校ダンス部は今年の9月30日か10月2日まで岩見沢で行われた「全道高校郷土研究発表会」の芸能部門で1位に輝き、来年の8月上旬に静岡で行われる全国大会に出場することが決まった。今年、3回目の挑戦で最優秀賞に選ばれた沖上げソーラン節は今の時代にあった新しい郷土芸能を創作したことが審査員に評価されたという。

3年生の沼田尚人君は卒業するので全国大会には参加できないが「3回目で手にした最優秀賞です。後輩には自分を越えていってほしい」と話す。同じく3年生の今野匠君は「ニシンをとる手さばきがむずかしかった」と話す。

後輩達は先輩の言葉を受けて「先輩達から受け継いだものを大事にして全国でも賞を取りたいです」と意気込む。

顧問の管原敦子先生は「北海道の郷土芸能の素晴らしさを全国に伝えたいですね」とのこと。

北海道に根付いた民謡に新しいエネルギーとパワーを吹きこんだ沖上げソーラン節で全国に新しい郷土芸能を広げていこうと、高校生たちは今日も練習に明け暮れている。