青いぽすと

昭和の雰囲気がある函館の店

2008-05-16 vol.396

昭和の空気を感じられる函館の懐かしいレトロショップ10

相変わらずの昭和ブームである。それにしても、人々は何故いまの時代に昭和を振り返るのだろうか? 「貧しくても夢があふれていた時代だから…」と、ひと言で括ってしまうのは簡単かも知れない。ただ、昭和の時代を生きてきたそれぞれの人達の分だけ、それぞれの思いがあることは間違いない。人生、過去に後戻りすることはできないけれど、それぞれの人達の過去の思いや行動の中にもしかしたら、それぞれの人達が幸せを掴むための未来予想図があるのではないだろうか。

今回は、函館市内で身近に昭和の雰囲気を楽しめる場所を探してスポットを当ててみた。昔から変わらない老舗や、昭和生まれの製品をそろえた話題の店など、昭和のムードに浸ることができる場所がここ函館にもたくさんある。ぜひそんな場所に足を運んで、あなたの心の中に残っている昭和の頃の自分と向き合い、じっくりと会話してみてはいかがだろうか——。

昭和の頃から変わらぬひと皿

まるきん焼きそば

日本史において近代と現代の区切りとなる昭和20年。第2次世界大戦後のこの年以降、闇市の屋台から焼きそばが生まれたという。もともとは屋台のお好み焼き鉄板を使って何かを…と考え出された料理で、子供の食べ物から大人の食べ物へと進化を遂げた。
ここ函館・大門の焼きそば専門の老舗、『まるきん焼きそば』は、昔ながらの根強いファンが多い店。買い物帰りに家族や友達同士で立ち寄った思い出がある人も多いのでは…。そのまま食べても十分美味しいが、ソースと青海苔をたっぷりかけて、昭和の頃からの変わらぬ味を楽しみたい。

営業時間は午前11時30分〜午後7時。毎週水曜日定休。

●松風町10-11
Tel:22-7616

番台が健在する懐かしい銭湯

大黒湯

市内弁天町の『大黒湯』は明治40年創業という老舗の銭湯。
外観は創業当時のままで、玄関を入ると昔懐かしい番台が健在。脱衣籠や体重計など昭和の銭湯が華やかな時代を彷佛とさせるものがそろっています。
昭和45年に改装した際に設置したという浴場の色つきガラスのモザイク模様が、昭和的なモダンな雰囲気を醸し出しています。番台に座って50年近いというこの銭湯の奥さんは、「昭和30年代から40年代の頃は脱衣籠が現在の3倍以上あって、混んでいる時は足の踏み場もないほど並びました。お風呂に来るのが楽しみというお客さんが多く、ずっとやってといわれてますし、できる限り続けたいですね」と話しています。

営業時間は午後2時45分〜午後8時。毎週月・金曜日定休。

●弁天町14-8
Tel:23-5414

時代を駆け抜ける古書店

浪月堂

色褪せた本の背表紙を眺め手に取る。紙の感触、匂い…そんなものを味わいながら本を探し、また、選ぶことも古書店の愉しみ方のひとつだ。
『浪月堂』は明治26年創業。百数十年という時代の流れを見続けてきた歴史ある古書店で、函館関連の出版物も多く取り扱っている。現在は4代目となる亀岡秋平さんがその看板を守る。初代からそれぞれの店主が激動を乗り越えてきたこの古書店は、きれいに整列されている希少な本と重なって見える。価値があるものは残っていくのだ、と本たちは語りかけてくる。
日本全国で誰かが必ず「この1冊」を求めている、という考えのもと、近年ではインターネット販売も行っている。探し物を見つける喜びは今も昔も同じなのだ。

●駒場町7-11
Tel:32-3479

思い出も味わえる洋食レストラン

ヨシヤ

「私のこと、覚えていますか? 子供の頃、両親とよく来ていました」。ここではそんな台詞を耳にするのも日常。
『ヨシヤ』は歴史ある町並みをいまも残す弁天町にある創業38年のお店です。地元の人はもちろん、旅行者までもが「帰る場所」にするほど、温かい古巣のような存在で、多くの人に愛されています。
『ヨシヤ』といえば1番に思い浮かぶのがエビフライ。やはりお皿の中央にドン! と乗っている大エビの存在感は圧倒的。1番人気の「Aセット」はこのエビフライ、ヒレカツ、ハンバーグなど豪華版で1870円。いまも昔も変わらないほっとする味です。

営業時間は午前10時〜午後9時(LO/午後8時30分)。毎週水曜日定休(水曜日が祝日の場合は営業)。

●弁天町5-6
Tel:22-1365

レトロな雰囲気を楽しんで!

来々軒

昭和10年創業の『来々軒』は、創業当時の面影をそのまま残すレトロな雰囲気が漂う1軒。十字街が函館の中心として栄えた頃、当時の流行の先端をゆくカフェとして賑わいました。
当時のカフェはお酒を出す店で、その後洋食の店に変わり、戦後は洋食と中華の店として市民に愛されてきました。アーチのある壁や石造りの池を模した装飾などが、当時の面影を現在も残しています。店内の椅子やテーブルも創業当時のままで、店内に1歩入ると昭和の世界が広がります。
おすすめは「塩ラーメン」(600円)で、コクがありながらさっぱりとした透明なスープが美味しいと評判です。全て手作りの「カレーライス」(600円)も昔ながらの懐かしい味と人気です。昔のままの飾らない看板が目印です。

営業時間は午前11時30分〜午後5時30分(LO)。毎週日曜日定休。

●末広町16-3
Tel:22-2803

元祖・インドカレー

小いけ

昭和23年創業の元祖・インドカレーの『小いけ』は、カレー専門店として函館市民だけでなく全国のファンに愛されてきました。JALの機内誌やJRの車内誌に取り上げられるなど、その人気のほどが分かります。
当時のままの木のドアを開けると楕円のテーブルが中央にあり、当時のモダンな雰囲気がそのままです。ドアやその周りにはめ込まれた模様入りのガラスなど、専門家から見ても貴重なものなのだとか…。
オリジナルブレンドのカレー粉を炭火でじっくり炒め、手間暇かけた昔ながらの味を頑固に守っています。お米をカレーに合う堅さにするために蒸す手間を惜しみません。1番人気は「カツカレー」(840円)で、他に持ち帰りもできます。様々な香辛料が入っているため、体に良いと毎日通い詰めるファンもいるそう。

営業時間は午前11時〜午後9時。毎週火曜日午後3時から休み。

●宝来町22-4
Tel:23-2034

あの頃の名車に、きっと会える…

株式会社ジャパントレーディング函館

クルマが一家に1台だった頃、お父さんがいつもピカピカに磨いていたあの頃のクルマ達に会える店がある。
市内桔梗町に昨年4月にオープンした自動車販売・買取店『株式会社ジャパントレーディング函館』のガレージの一角には、国産・外国産の旧車が並ぶ。昭和43年のコロナや同53年のグロリア、フォルクス・ワーゲンの旧車など、レストア済の旧車は全て販売しており、主に30〜40代のファンに人気を集めている。空冷エンジンの技術者がいるということもあり、コンディションの良い旧車と巡り会えそう。
ガレージには見学者もよく訪れているそうで、磨き込まれた旧車を眺めながら、昔の思い出に浸る人もいるのだとか…。「僕も昭和が大好きなんです」とは高橋正人代表。ピカピカに磨いた旧車に古き良き時代の夢を乗せて、あの頃通った道を再び走ってみるウィークエンドも、きっと悪くない——。

営業時間は午前9時〜午後7時。毎週日曜日、祝日定休(ただし毎月第1、3日曜日は営業)。

●桔梗町213-84
Tel:49-9488

駄菓子屋は人生の学校

ミニショップ かぶと虫

入ったとたんに心がほっこりとする懐かしい空間、駄菓子屋。時代はコンビニに取って代わり、昔ながらのお店は数少ない現在、市内弁天町の『ミニショップ かぶと虫』は貴重な存在だ。
糸引き飴、カレーせんべい、酢昆布、ヨーグル、ふ菓子、ポン菓子などなど…。暗算しながら悩んで選び、小遣いを最大限活かす買い物の知恵を絞るのは、子供にとってまさに生きた算数。店のおじさん、おばさんとの会話の中から礼儀を教わり、友達同士の関わりを学ぶ社交場でもあった。
いまでは大人になったかつての子供達が、自分の子供を連れてやって来るという。駄菓子屋は、ワクワクする気持ちを育む「人生の学校」だ。

営業時間は午前10時〜午後6時。不定休。

●弁天町3-9
Tel:22-5458

思い出の曲でタイムスリップ

Falk Sakaba 高円寺

フォークソングやビートルズが大好き。そんな人達が集まり、ギターを弾いて歌って楽しんでいる市内本町の『Falk Sakaba 高円寺』。店内にはフォークギターやパーカッションなどがそろい、お客さんは思い出の曲を弾いたり歌ったりして、“あの頃”にタイムスリップ。歌は原則1人1回に2曲歌えます。コード付歌本も豊富で、ギターが弾けない人はスタッフが演奏してくれます。ギター持参もOK。カラオケにはないライブ感が心地よく、知らない同士が仲良く歌ったりするところも昭和的。チャージは駄菓子食べ放題付1000円。生ビール、カクテル、水割り、ソフトドリンクなどワンドリンク500円〜。

営業時間は午後8時30分〜。不定休。

●本町32-35
第3五洋ビル1階
Tel:090-7646-5311

心の中のおもちゃ箱がここにある

タイムカプセル地球堂

筆者が店内に1歩足を踏み込むと、「あまり片付いてないんだけれどね…」と濱道正徳店主。確かに店内には、全てをきれいにディスプレイしきれないほどの昭和玩具がズラリ。でも、それぐらいのほうがかえって懐かしい。だって、子供の頃のおもちゃ箱って、きっとこんな感じだったから——。
市内大手町にある『タイムカプセル地球堂』は、熱心なコレクターにとっては貴重な1軒として知られている昭和玩具の宝庫。めんこ、凧、超合金、食玩など、決してコレクターでなくとも懐かしくてついつい買ってしまいそうな、戦後まもなくから最近までの玩具が並んでいる。「こういうものは人気がある商品ほど早く売れてしまいます。毎日のように足を運んでも欲しいものと出会うことができない場合もあれば、ふらりと立ち寄って運命的な出会いをする場合もあります」と、濱道店主は昭和玩具の魅力を話してくれた。稀少玩具の買取もしており、査定及び電話相談は無料。

営業時間は午後2時〜午後7時。毎週水曜日定休。商品買付などで臨時休業する場合がありますので、来店の際は事前に電話確認下さい。駐車場有。

●大手町10-20
Tel:27-3273

ボク達・わたし達の心の昭和に会える場所 青いぽすと Vol.396