函館で活躍する人
2011-01-18 vol.460
函館元気宣言!地域活性は一人ひとりの思いと行動力が鍵
今号が2011年最初の発行分となります。本年もご愛読のほど、よろしくお願いします。さて、新年第1号の今回は、2011年の道南地域の元気のために活躍してほしい人、注目したい人にスポットを当ててみました。地域活性化のためにはさまざまな要素が必要ですが、やはり地元で暮らす人達のアイデアやバイタリティーというものが不可欠なのではないでしょうか? 今回紹介した人のほかにも、道南の元気のために活躍している人はたくさんいます。そんな人達を応援し、また、道南で暮らす私達1人ひとりが協力しあって、未来への夢があふれる元気な街づくりを目指したいものですね。
函館の子供達に夢を抱いてもらいたい…
『(有)ファーストフラッシュ』代表取締役 小林 一輝さん
アパレル業界や飲食業界で若手経営者として活躍し、函館の若者からはカリスマ的存在として注目されている小林一輝さん。1940年代から現代に至るまでのアメリカのファッションを融合したオリジナルブランドを函館から東京に向けて発信し、その活躍の場を広げている。また、一昨年からはじめた函館の地域活性化イベントがきっかけで昨年、NPO法人『函館黒船地域活性化協議会』を発足し、自ら会長に就任。仲間内で作ったイベント集団が正式に組織化されたことで、地域活動を通じてさまざまな人達との交流の輪が広がったそうで、「今後は、函館の子供達に夢を抱いてもらえるようなイベントの実現を目指したい」と、力強く抱負を語る。さらに昨年10月からはFMノースウェーブの情報番組『みなみ北海道クルージン』(毎週土曜日午前10時〜同11時)という番組で、自身の友人で函館の若手経営者の浅水耕太さんとともにDJとして出演。この番組がなかなか面白く、道南の見どころやタイムリーな行事など、地域の身近な魅力が楽しいトークでたっぷりと紹介されている。好きな言葉は「有言実行」。30代を迎えた若きカリスマの飽くなき挑戦が、地域にとって厳しい時代といわれる昨今のムードに風穴を開けてくれることに期待したい。
昨年は小説が映画化、円熟の作家生活…
時代小説家 宇江佐 真理さん
函館在住の時代小説家・宇江佐真理さん。昨年は自身の小説『雷桜』が映画化され、この作品が注目されました。作家デビューしてから今年で16年。出版した本は50冊近くになり、円熟してますます脂がのって作品の内容も充実しています。最近では若い人の間で時代小説の人気が上昇し、宇江佐真理さんのファン層も広がっているようです。このところの執筆は、2ヶ月おきに月刊誌などに掲載される連作をコンスタントに書き、連作が6本になると単行本となって出版されます。この間、単発作品を創作したり、エッセイの執筆依頼があったり、出版社で本の打ち合わせをするために東京に出張したりと、仕事のペースは変わらないようです。次々と生み出される創作のヒントは、人間観察だそう。人に関心を持ち、その人となりを想像し、そこから登場人物を造形します。
今後は、人のために尽力しながらも世に知られないまま歴史の中に埋もれている人物を発掘して書いてみたいそうです。“小説家になるなら地方にいては不利”という通説を翻し、函館で執筆を続け、数々の作品を世に送り出している宇江佐さん。「地方でもやれる」という元気がもらえました。
函館駅前の“元気”に期待!
『(株)北海道ラボラトリー』代表取締役社長 國分 晋吾さん
昔から函館で暮らしている女性から、「大門がちょっと元気を取り戻したみたいで嬉しいねぇ」という声を聞いた。函館駅前・和光ビル1階にできた地場野菜の店『八百屋 夢八』のスタッフが連日、店の前で元気に声を上げる。仕掛人は『(株)北海道ラボラトリー』代表取締役社長の國分晋吾さん。埼玉県出身。東京の有名企業の企業戦士として活躍してきたが、数年前の観光旅行がきっかけで函館が気に入り、会社を辞めてサラリーマン時代のノウハウを活かして人材育成会社の同社を設立し、函館に移住。道南の農家に足を運んだ際に地元生産者の熱意を知り、活性化が望まれる函館駅前で地場野菜の店を開業した。「地域活性のために、まずはイメージを変えることが大事だと考えました」というのが、若いスタッフによる店前での声出しを始めた理由。当初は11日間の期間限定オープンの予定だったが、函館駅前の活性化を望む市民からの期待を受けて営業を続けることに決めた。「道南各地の生産者の想いと地場野菜の美味しさを伝えるのがこの店の役目です。また、大門に日用品店と専門店が並ぶ商店街ができればいいと思っています。初めて大門のアーケードを見た時から、そういう可能性を感じています」。
『八百屋 夢八』はTel:84-1032。
地域の元気は市民の元気から…
『はこだてもりあげ隊』事務局長 恩田 泰久さん
「函館を盛り上げたい」「地域を活性化させたい」と考える生産者、自営業者、地元中小企業の人達が業種を超えてつながっている『函館もりあげ隊』。事務局の恩田泰久さんは今年の目標として、「“地産地消”の考えを食べ物だけでなく人材にも広げること」「“地域内循環”として地域内でお金を還流させること」「“地域外貨幣の獲得”として観光や永住したくなる魅力ある地域づくりをすること」の3つを挙げます。「地域に住む人が人間らしく生きて生活するためには、地域内の経済が回ることが大切です。そのために年2回の大きな出会いの場を提供し、業種を超えたコミュニケーションをつなげてゆくお手伝いをしています。今では参加した人達が職業や立場を超えて話し合い、情報交換や商品開発、ボランティア活動など、色々始めています」と話す恩田さん。『はこだてもりあげ隊』の活動を通して新しい取引や商品開発、パチンコ店駐車場での朝市(季節限定)、地場産のイチゴを使った季節限定のタイ焼き「イチゴたい福」、大学生による産直朝市など様々な活動が広がっています。函館を元気にしたいと願う人なら誰でも参加できます。
連絡先はTel:090-1642-2317(パチンコ富士・恩田)。
食べることの大切さを伝えたい
『八百ねっと直売所』代表 高坂 重勝さん
メガドンキ・ホーテ函館店地下1階、熱血商店街の『八百ねっと直売所』代表・高坂重勝さん。高坂農園の名で馴染みのある人も少なくないはず…。1999年、高坂さんの父親が鶏を飼いはじめたことが今日に繋がっているとは、当時誰も予想できなかっただろう。当初、鶏の卵を農家の軒先で販売していたが、雨の日や冬は売れ行きが思わしくない。しかし、鶏は次々と卵を産む。そこで高坂さんは宅配販売を開始。最初はたった1軒のための宅配。せっかく行くなら…と、その近所で卵の試食を行ったことがきっかけで、野菜の宅配へと繋がってゆく。新鮮で安全で美味しい野菜を作るだけではなく、どのように消費者に届けるか、様々な売り方を考え発展させていったのが高坂さん流。生産者であり販売者となった高坂さんは、さらに発想を展開させ野菜の調理法、食べ方に目を向け活動中。「食べることの大切さや食べ物の大切さを伝えることは、農家の自分だからこそ出来ると思うのです」と、これからの世代に目を向けて話す。今後の目標は、ファームレストランをはじめることなのだとか…。さらなる展開に期待したい。営業時間は午前10時〜午後6時半。
『八百ねっと直売所』はTel:84-5507
ホームページはhttp://www.yao-net.net。
人と人との繋がりを大切に…
『函館観光ボランティアサークル愛NO.1』代表 加地 律子さん
今から30年ほど前、日本で最初に観光ボランティアをはじめたのが『函館観光ボランティアサークル愛NO.1』の代表・加地律子さん(80歳)。「ただ案内するのではなく、それぞれに合わせて案内することで心を繋げてゆくボランティアです」と話す加地さんは、現在も全国各地から訪れる観光客に函館の街の魅力を伝えています。また、以前は保護士などの奉仕活動も行っていましたが、12年前からは父の跡を継ぎ、美術・骨董品の店『株式会社陶陶亭商事』の経営者となりました。さらに、年3回チャリティーカラオケを開催して函館市福祉部に寄付するなど、その活動は精力的。そのバイタリティーの源は、常に体と頭を鍛えることを意識した生活と、“嫉まず・妬まず・羨まず”という気持ちでいることでストレスとも無縁になれるのだとか…。「お店には貴重な品物がたくさんありますが、私にとっては従業員やボランティアのメンバーが1番の宝ものです」と、日々周囲の人に感謝の気持ちを伝える加地さん。どの場面でも人と人との繋がりを大切にしている加地さんの活動には、今後も注目です。
『株式会社陶陶亭商事』(若松町18-17、Tel:22-8151)の営業時間は午前10時半〜午後2時。毎週日曜日、祝日定休。
日韓の架け橋となる活躍に期待
北海道大学大学院水産科学研究院 申 東煥さん
申東煥(シン・ドンファン)さんは、函館在住12年の韓国人。職業は、北海道大学大学院水産科学研究院の水産・海洋コーディネーター養成事務局博士研究員。この事務局では、一昨年から「水産や海洋科学に関する知識や技術を習得し、函館の国際水産・海洋都市の実現に向け活躍できる人材の育成」として「水産・海洋コーディネーター」と「海のサポーター」を養成する講座を開催。申東煥さんはその企画運営、講師をつとめています。講座は今年も4月~11月に開講し、8月には函館港で海を楽しむイベントも行います。受講生募集の説明会は1月22日に五島軒本店で行われ、開講に向けて準備が始まっています。また、今年は故郷の韓国高陽市と函館市が姉妹都市となり、提携に至るまでの文書のやり取りや資料などの翻訳、高陽市関係者が来函の際には通訳として尽力してきました。さらに、長年在日本大韓民国民団函館支部や七飯町が行っている韓国語講座の講師をつとめており、6年前からは「函館韓国語スピーチコンテスト」も開催してきました。今年のコンテストは3月12日に行われますが、今回は実行委員長として責任を担っています。公私ともに大活躍の申東煥さん。今年は、日韓の架け橋となり、さらなる活躍が期待できます。
経験できることを楽しんでいきたい…
『パテントワークス』代表 笠井 文雄さん
鼻呼吸のためのトレーニングマスク「レブナ」と、座るだけで体幹筋やバランス機能を強化できる健康器具「アピュア」。笠井文雄さんは、テレビや雑誌などでも取り上げられ、全国的にも注目されているこの2つのアイテムを商品化して販売している『パテントワークス』代表。商品の開発にあたっては、(財)函館地域産業振興財団や道内外の各大学などと協力し、データに裏打ちされた産・学・官連携の“しっかりとした物作り”を心掛けたそう。「2011年は…、去年よりもっと楽しみたいですね」。有名アスリートからも支持されているレブナは格闘家の愛用者も多く、その関係から格闘技の大会に招かれることがよくあるのだとか。「物作りをしたことで、人との接点ができて貴重な経験をさせてもらっています。何でもやってみたいと思うほうですから、経験できることは全て楽しむようにしているんです」と、優しい笑顔で話してくれました。「ビジネスの部分では、体機能を高めて自立を促す福祉用具的に、レブナやアピュアを活用してもらえるようにアイデアを絞っていくことを課題と考えています。国際的な展示会にも参加してみたいですね」。
レブナ、アピュアのお問い合わせは同社Tel:34-7892まで。
世界に出会うお祭りを!
『ひのき屋』代表、はこだて観光大使 ソガ 直人さん
今年4回目を迎える「はこだて国際民俗芸術祭」の芸術監督を務める、ソガ直人さん。トラベリングバンド『ひのき屋』の代表で、函館を拠点に海外の民俗芸術祭で活躍しています。2004年からはこだて観光大使。ひのき屋でクロアチアやブラジル等を回るうち、世界中からアーティストが集まる民俗芸術祭に出会いました。函館に海外の民俗音楽・舞踊が一堂に会し、イベントを通じて交流しようと2008年から開催しました。「これまで海外からのゲストを要請していましたが、4回目からはヨーロッパ全域から函館のステージに出演したいと応募が続いています。フェスティバルの行われる8月は、世界のミュージシャンとテーマカラーのオレンジで溢れる函館になりそうです。函館が、文化や芸術、人々が交流する街になってほしいですね」と語るソガ直人さん。2011年の企画は、8月5日~10日の6日間、元町公園をメイン会場に、ワールドテイストの飲食ブース、ダンスワークショップ、子どものためのパフォーマンスなど楽しい企画を練っています。昨年はスタッフが海外のフェスティバルに勉強に出かけ、刺激を受けてさらに魅力あるフェスティバルを目指しているそう。現在、スタッフを募集中です。
ひのき屋は陣川町52-1、Tel:51-5727。
定番の動物シリーズにニューフェイスを…
鞄作家 永嶺 康紀さん
「各地で個展を開く時には、街並みの写真などで函館らしさを出したカタログを持参して、“函館から来ました!”とアピールしています」。そう話すのは、末広町に古民家を改装したアトリエ兼ショップ『OZIO(オジオ)』を構える鞄作家の永嶺康紀さん。店名の意味はイタリア語で「ゆったり気ままに」。2008年、それまでの活動拠点だった東京から生まれ育った函館に戻り、2009年7月に現在の店舗をオープン。デザインから裁断・縫製まで、制作の全てを手作業で行い、長く愛用できるシンプルなデザインから、フラミンゴやキリンなどがプリントされた定番の動物シリーズ、手描きのイラストが印象的な絵画を思わせるバッグなど、独創性のある作品を作り出しています。
「今年は動物シリーズに新しい仲間を増やす予定です。ほかにも手描きの1点物など、見て楽しめる作品的なバッグもできるだけたくさん作っていきたい。路面店は入りづらいと思わずに、絵を見に来る感覚で気軽に足を運んでもらえればと思っています。個展のスケジュールも入っていますので、函館のPRを兼ねて行ってくる予定です」。
ショップは夏期は無休、冬期は金・土・日曜日のみ営業。
問い合わせはTel:23-1773まで。