元気な高齢者の趣味
1998-07-24 vol.159
シニア世代の元気の秘訣は趣味?函館の高齢者達に聞いてきた
一般的に満60歳以上の人を“高齢者”と呼ぶ。しかし、高齢化社会を迎えた昨今、60歳という年齢は人生の節目であり目安であり、それまで仕事の為、家庭の為、子供の為に費やしてきた人生から、今度は自分の好きな事をする為の第2の人生が60歳から始まる。長い人生経験を活かして、本当に心豊かな暮らしをはじめた人たちを私たちは「人生のヴェテラン」と呼び、その輝くライフスタイルにスポットをあててみた。
ヴェテラン・エイジたちの休日
The Last of the Samurai!
医学博士 宮田 忠博さん(73才)に迫る
市内八幡町『宮田歯科医院』院長・宮田忠博さんは現在73歳。知る人ぞ知る“海の男”で、海上保安庁所属、「ボート天国協議会」の会長を務めるなど、当市のマリンスポーツの推進と海上保安に長年責献してきた人物である。若い頃は、関西屈指のボートレーサーとしてならした経験を持ち、函館に住んでからは、クルーザー2隻とボート5隻を用意して津軽海峡を往復横断した。
趣味の多彩さとそのスクールの大きさでは定評があり、医院の待合室に“NANIWA-Kid’s”というドイツ製小型ヨットを展示するほどのヨット、ボートマニアであるほか、道内屈指の旧車マニアとして、モナコ王妃として知られた故グレース・ケーリーの愛車と同型の1971年型ジャグヮーEタイプロードスターを所有。これまで道内各地で開かれた旧車フェスで注目を集めてきた。さらに、カメラのコレクターとしても知られ、世界の逸品・ライカを2機所有し愛用している。
昨年初冬、イタリア戦艦が来函した際、若い海軍将校を引き連れ本町にて痛飲し、海の男として親善を深めたエピソードがあり、後にイタリアへ帰国した将校から
Presented to Dr.T.Miyata the Last of the Samurai to remember an unforgettable night.
と刻まれた立派な盾が送られてきたそうだ。
ご自身のデスクの周囲には、素晴らしいコレクションがずらり
イタリア将校より送られた立派な盾は、診療室の壁に飾られている。
カメラマニアにはたまらないドイツのヴィンテージカメラ『ライカ』をなんと2機所有
"旧車”と呼ぶにはあまりにもデザインが新しい!愛車ジャグヮー
実物を見ると迫力満点!自慢のラジコン飛行機は多くの男たちの夢と憧れ
人生のヴェテランが語る…自分らしいライフスタイル
青空に夢とロマン抱いて… 福原 一男さん(68歳)
レオチルド・ダ・ヴィンチが…ライト兄弟が…大空に夢とロマンを抱いて飛行機を創造したように、自分自身が設計・制作したグライダーを大空に飛ばし、人生を謳歌している考雄が函館市内にいます。
福原一男さん68歳は、小学校の工作の時間に学んだグライダー作りに魅せられ、中学生の時には市内の大会で優勝したことがあるという人物。戦争中、そして仕事が忙しい時期には一時中断していたものの、昭和40年代前半から再びグライダーに目覚め、以来30余年に及び精密な設計から材料選び、そして製作、飛行までをたった1人で全て行ってきました。
福原さんが楽しんでいるのは、ラジオコントロールによるモーター動力のモーターグライダーと、平地で楽しむサーマルソアリング、丘陵地でのスロープソアリングなど。それぞれ、滞空時間を伸ばす工夫や速度を速くするための工夫など、設計技術や製作技術、さらに飛行させる当日の気象条件への対応がものを言うダイナミックな趣味です。普段は木古内町や大野町まで出かけて楽しんでいるほか、岩手県をはじめ全国各地で実施されている大会にも出場。平成4年には岩手県で行われた大会で優勝した実績もあります。「苦労して作った自分のグライダーが大空に飛ぶ瞬間は最高の気分。生涯やめられない楽しみです」と福原さん。
現在、このダイナミックな趣味を共に楽しむ仲間を募集中だそう。興味ある人はTel:32-2652(福原) またはTel:46-1116(遠山)までご報を。
60代からのボウリング 小綿 茂さん(89歳)
昔から人に命令されたり、指図されたりするのが嫌いという日吉町の小綿茂さん89歳の趣味はボウリング。
「ボウリングをやめてゲートボールにしたら」家族にこういわれると意地でもやめたくないといいます。
ボウリングを始めたのは67歳の時。ボウリング好きが集まる「スター海峡クラブ」に入り、数々の大会に出場してきました。そして優勝すること21回、準優勝12回、敢闘賞6回。
入賞することだけが目的ではないと言いますが、やる気さえあれば、年令に関係なく楽しむことができるのですね。ユニフォームに着替え、愛用のシューズとボールでゲームを楽しんでいる姿が輝いてる、そんな小綿さんですが、70歳の時がんを患い「あと3ヵ月の命」と言われたこともあったと当時を振り返ります。
元気になった今は毎週日曜日にスターボウルへ行き、仲間や孫たちと一緒にボウリングをしているそうです。「いくつになっても自分のやりたいことをやって、楽しく過ごすのが一番」と小綿さん。これからも思う存分楽しんで下さいね。
写真を通して広がった世界 松本 緑さん(73歳)
松本さんは、6年前、市内の写真愛好家のために企画された写真大学をはじめて受講しました。
これまでは家族の世話に追われ、なかなか自分自身のために時間をとることができなかったそうです。やっと自分自身のために時間使えるようになったとき、松本さんが選んだのが写真。67歳の時でした。
以来、写真の魅力にひかれてカメラ片手にあちこち撮影にでかけるようになりました。
写真作品は主に花や風景。特に大沼の風景を良く撮りにでかけるといいます。季節の移り変わりや、その時々のようすをカメラで写し取るたのしみは格別。
もう1週間おそければ散ってしまっていたという花にもであいますし、まさにシャッターチャンスという風景にめぐりあうときもあり、写真の奥深さを実感もしました。
また、写真を撮り始めたことをきっかけに、積極的にいろいろな趣味を広げ、絵画や陶芸もなさっているそうです。
年配になってから、新たなことを始めるのは、なかなか大変なこと。
まして、家庭をもつ女性の場合、家族の世話や家事等で、自分の時間を作るのにも苦労します。
松本さんは「若い人たちが仲間として受け入れてくれるので」と言いますが、なによりご本人の積極的な努力があってのことでしょう。
11月には今までの作品を集めての作品展を、美原のトヨタオートで開くことになり、準備に余念のない松本さんです。
夫婦で楽しむ社交ダンス 松原 福丸さん夫妻
華麗な音楽に乗り、優雅にステップを踏む社交ダンスは、実は大変ハードなスポーツでもあります。
その優雅な社交ダンスをご夫婦で楽しむ松原福丸さん、俊子さんは2人でダンスを始めて6年ほどになります。
最初に始めたのはご主人の福丸さんで、一緒に楽しもうと俊子さんを誘ったのだそう。
ダンスは華やかな見た目からは想像出来ないほどの体力を要求されるとか。25分のレッスンを終えると2人とも汗だくになるほどで、汗をかく爽快感が心地良いのだそう。「歳とともに、心から沸き上がるものとは無縁と思っていました。でもダンスは人を感動させる何かがあるのです」という福丸さん。
年に1度の発表会ではそれぞれが自分の目標を持ち、厳しい練習を重ねます。そして当日は先生や仲間たちの前でそれを披露するのですが、その緊張もまた、生活の張りになるといいます。
夫婦で同じ趣味を持つことで共通の友人も増え、いつも話題が絶えなく、夜更けまで友人を交えて歓談する事もしばしばといいます。
ほかにもバウンドテニスやスキーなどを一緒に楽しむお2人は、健康で趣味を楽しむ今が1番幸せですね、と声を揃えます。