青いぽすと

函館の博物館・美術館

2011-10-28 vol.479

函館の博物館・美術館は子供・大人も楽しめるミュージアム

深まる秋…。書物やインターネットなどで知識や教養を深めるのもいいですが、たまにはミュージアムや企業見学などに足を運んで、実物展示や製品の製造工程などを実際に目で見て確かめて、知識を深めてはいかがでしょう。函館や近郊には、その歴史的・地理的背景や産業の特徴などに関連して、楽しくてためになる施設や企業の見学サービスがいくつもあります。この秋はそうした場所に注目して、〝知の散策〟を満喫してみませんか?

貴重な水産科学の展示がズラリ

北大総合博物館分館 水産科学館

港町3丁目・北海道大学函館キャンパス内にある「水産科学館」は、世界中の魚類など約21万点の標本を保管する施設。昭和33年に北水同窓会の寄付で誕生し、平成19年より北大総合博物館の分館となった。国内外から研究者が足を運ぶこの施設には、一般的な魚類から希少種までのホルマリン漬けの標本が展示されており、魚が動かない水族館のよう。圧巻は世界的にも貴重なニタリクジラの巨大な骨格標本で、恐竜のような迫力が見学者を驚かせている。この施設が無料で見学自由。地元の人がふらりと見学に来るほか、全国から団体での研修の申し込みがある。

開館は平日、5月第3土曜日、6月~10月の第1・3土曜日の午前10時~午後4時30分。

●港町3-1-1
Tel:40-5553

ルネッサンス風の面影

旧函館区公会堂

明治43年建造の『旧函館区公会堂』は、明治時代に建設された日本各地に現存している公会堂の中でも建築意匠・技法に優れ、建物の改造が少なく家具の保存状態も良いことなどから国の重要文化財に指定されています。館内は明治洋風建築に共通したルネッサンス風の面影。ハイカラ衣裳館にあるドレスや燕尾服を身にまとい、優雅でレトロな写真撮影ができます。左右対称のコロニアルスタイルが特徴的な美しい建物。当時の気分に浸ってみて。入館料は大人300円、学生150円、市内の小・中学生と未就学児無料。衣裳1着・ヘアメイク1回各1000円。

開館時間は午前9時〜午後7時(11月〜3月は午後5時まで)。11月の休館日は29日。

●元町11-13
Tel:22-1001

”トナミブランド”の技術を見学できる

トナミ食品工業株式会社追分工場

観光客などに人気のいかソーメン。『トナミ食品工業株式会社』は、その卓越した冷凍技術と、ソーメンカッターと呼ばれる機械による絶妙な太さなどから、いかソーメンの美味しさが知られている。北斗市追分にある工場では、全国的に人気の〝トナミブランド〟のいかソーメンの製造工程を見学することができる。個人・団体ともに事前申込が必要で、同社の社員による詳しいガイド付きで見学通路を案内される。

また、工場に隣接して直売所も設置されているので、およそ160アイテムのトナミブランドを直売価格で購入できるのも魅力のひとつ。道南から全国に発信される水産加工技術の一端をご覧になってみては…。

●北斗市追分4-6-8
Tel:48-2468
(見学予約電話)

函館開港の歴史を紹介

函館市旧イギリス領事館(開港記念館)

大正2年に竣工し、昭和9年まで領事館として使用されていた建物を開港記念館として公開しているのが、『函館市旧イギリス領事館』。建物は函館市の有形文化財にも指定されています。「開港の歴史」と「イギリス領事館」をテーマ別に展示しており、領事館のエリアでは、領事執務室などを再現。函館開港の歴史室では日本初の貿易港として開港するまでの歴史や文化を、体験アイテムを取り入れながら紹介しています。館内には英国グッズを扱うショップやティールームも有。入場料は大人300円、学生(小学生以上)150円。ティールームとショップは入場無料。

営業時間は午前9時〜午後7時(11月1日〜3月31日は〜午後5時)。無休。

●元町33-14
Tel:27-8159

古代から昭和までの函館散策

市立函館博物館

函館は古代から人々が暮らす場でした。『市立函館博物館』では、それらを年代や項目別に整理し、展示しています。展示は常設と企画展などがあり、現在は2階ロビーで10月18日〜11月20日に『現代に息づく縄文文化 亀ヶ岡焼ー一戸広臣の世界ー』を開催中。常設では、函館エリアで発掘された中世の古銭や縄文土器、五稜郭の図面、箱館戦争の資料、昭和時代の風俗まで、多彩な資料が展示されています。入館料は一般100円(80円)、学生50円(40円)。カッコ内は10人以上の団体料金。函館市内在住の障害のある人、小中学生は無料。

開館時間は11月から午前9時〜午後4時。毎週月曜日、10月28日休館。

●青柳町17-1 函館公園内
Tel:23-5480

大人も子供も楽しめる!

北海道鉄道博物館

昨年、WAKOビル6階にオープンした『北海道鉄道博物館』。貴重な鉄道用品を集めた展示室では、昔の駅の雰囲気などを体感。函館市電や青函連絡船に関する展示も見応えがあります。フロア内に再現した炭鉱の坑内を運行する炭鉱トロッコ列車も人気。無料スペースのショップエリアは昭和40年代の商店街をイメージ。鉄道グッズのほか駄菓子なども販売しています。展示室の入館料、炭鉱トロッコ乗車料金は各一般500円、小・中学生250円、幼児(3歳以上)150円。鉄道模型操作体験なども楽しめるお得なパスポートも有。

営業時間は午前10時〜午後7時(最終入館時間/午後6時30分)。毎月第3水曜日定休。

●若松町20-1
Tel:26-8228

北海道屈指の豪商・相馬哲平の館

旧相馬邸

『旧相馬邸』は明治41年に建てられた和洋折衷の歴史的建造物で、函館湾を一望する絶好の地に建っています。函館発展の基礎を築いたと言われる相馬哲平が居宅として建てたものです。1861年、越後、現在の新潟県から大志を抱いて函館に渡った「相馬哲平」は、米の騰貴で巨利を得、後にニシン漁や海陸物産の商いで北海道屈指の豪商に上り詰めた人物。その後、函館公会堂を始め数々の公共事業に私財を惜しまず函館の発展に尽くしたことでも知られます。コンサートやイベントのための貸室もあるのでお問い合わせください。

営業時間は午前9時30分~午後6時。入館料は大人500円。

●元町33-2
Tel:26-1560

北方開発、遠洋漁業の先駆者

箱館高田屋嘉兵衛資料館

高田屋造船所跡地に開設された「箱館高田屋嘉兵衛資料館」は、北前船「辰悦丸」の模型や当時をしのばせる絵画や資料が収蔵されています。淡路島に生まれた高田屋嘉兵衛は、1796年淡路島から、蝦夷と呼ばれた北海道を目指しました。函館を拠点に北前船の事業を興し、港の整備、道路の改修、造船所など函館の街の基礎を造り、1799年には国後島、択捉島への航路を開き、北方領土の開拓に尽力しました。1811年に発生したゴローニン事件を解決に導き、日本とロシアの民間外交の先駆けとなりました。

営業時間は午前9時~午後5時。毎週木曜日定休。木曜日が祝祭日の場合は翌日が休み。入館料は大人300円。

●末広町13-22
Tel:27-5226

ワイン工場見学はいかが?

株式会社はこだてわいん

ワインの種類は140種以上と全道随一の『株式会社はこだてわいん』は、広く一般に工場を公開しています。会社敷地内にある仕込み棟でのぶどうの搾汁、タンクへの仕込み風景などの貯酒室の様子、別棟での洗瓶や瓶詰め、打栓、検瓶などの製造工程の見学ができます。見学の際は専任スタッフが工程の解説をしてくれます。隣接する『葡萄館』には、新作から定番まで100種類以上のワインが並び、常時10種類以上の試飲を用意しています。試してお好みをどうぞ。見学は毎週月曜日〜金曜日に実施。事前の申込が必要です。費用は無料。

葡萄館の営業時間は、11月から午前10時〜午後5時。11月1、8、15日休館。12月は無休。

●七飯町字上藤城11
Tel:65-8115

北方民族の資料が豊富

函館市北方民族資料館

『函館市北方民族資料館』は旧日本銀行の建物を活用している施設で、展示ホールと7つの展示室に、アイヌ民族を中心に樺太や千島列島などに居住していた北方民族の衣服、生活・儀礼用品、狩猟道具などを展示。明治から昭和にかけて収集された1万4千点ほどの資料は北方民族の資料としては国内有数。国の重要文化財指定品や国立博物館と並ぶ国内最古級の資料などがあります。11月13日まで企画展「渡島半島のアイヌ民族資料」を開催中。11月12日にはミュージアム・トーク「アイヌ文化の謎を探る」を行います。入館料は一般300円、市内在住小・中学生は無料。

開館時間は11月から午前9時〜午後5時。不定休。

●末広町21-7
Tel:22-4128

知の散策案内。 青いぽすと Vol.479